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雑誌目次

雑誌文献

medicina61巻9号

2024年08月発行

雑誌目次

特集 リウマチ膠原病疾患Up To Date!—押さえておきたい最新の診断と治療

特集にあたって

著者: 岸本暢將

ページ範囲:P.1378 - P.1379

 一般内科を主とした内科系診療科の先生方が病院や診療所などで日々診療をされるなかで,さまざまなリウマチ膠原病疾患に遭遇することが多いと思われる.例えば,世界中の外来疫学研究のデータをみても,“関節痛”の主訴は一般内科・家庭医外来に来院する患者さんの主訴トップ3に入るとする報告が多く,鑑別診断や早期診断,および早期治療のためにもリウマチ膠原病疾患のcommon diseaseに精通することは必須と考える.
 23年前(2001年),筆者はハワイ大学において,内科レジデントとして1カ月間リウマチ膠原病クリニックで研修を行った.その際,生物学的製剤の投与のため,2カ月ごとに日本からわざわざ渡米される多くの患者さんが,生物学的製剤の点滴投与により,目の前で改善していく姿を見てリウマチ専門医になる決意をした.幸いなことに,昨今ではドラッグラグも最小限になり,2003年より関節リウマチに生物学的製剤が導入されてから本邦でも20年以上が経過した.関節リウマチ以外の疾患でも難病と考えられている全身性エリテマトーデス,全身性強皮症にも生物学的製剤が承認され,多くの分子標的薬が登場している.効果と安全性のバランスのとれた薬剤の登場により,欧米ばかりでなく,本邦においてもリウマチ膠原病疾患の診療ガイドラインがアップデートされている.

特集を読む前に あなたの理解度チェック!

ページ範囲:P.1380 - P.1384

●今月の特集執筆陣による出題です.リウマチ膠原病に関する理解度をチェックしてみましょう!

リウマチ膠原病疾患を疑うときのアプローチ

関節痛からの鑑別—関節痛・関節炎を追いつめる3ステップアプローチを身につける

著者: 滝澤直歩

ページ範囲:P.1386 - P.1391

Point
◎関節痛を訴える患者を見たら,問診で鑑別をざっくりと挙げて,フィジカルで解剖学的部位を確認し,関節分布と+αの情報で迫る,3ステップで考える.
◎痛みの問診である「OPQRST」,持続期間(急性か慢性か),罹患関節(単関節か多関節か),時間経過(間欠性か移動性か)はそれぞれ重要な鑑別のポイントである.
◎フィジカルは大切だが,過信しないように.患者の訴えとズレが生じるときは謙虚な姿勢を忘れない.

膠原病を疑う呼吸器・肺所見—関節リウマチにfocusして

著者: 皿谷健

ページ範囲:P.1392 - P.1396

Point
◎膠原病肺は間質性病変,気道病変,胸膜病変で分けて考える.
◎膠原病肺は肺高血圧症や肺胞出血の可能性も常に考慮する.
◎IPAF(interstitial pneumonia with autoimmune features)の4.42%,それ以外の特発性間質性肺炎の0.89%で1年以内に自己免疫疾患を発症する可能性を考慮する.

膠原病を疑う皮膚所見—顔と手のサインを見落とさない

著者: 衛藤光

ページ範囲:P.1397 - P.1402

Point
◎頰部紅斑は全身性エリテマトーデス(SLE)を,環状紅斑はSLEとSjögren症候群を疑う.
◎seborrheic area erythema(mid facial erythema)は皮膚筋炎を疑う.
◎手指の爪囲紅斑,爪上皮延長,爪上皮出血点は膠原病の診断に重要である.
◎下肢や体幹のリベドに沿った結節と浸潤を触れる紫斑は血管炎を示唆する.

膠原病を疑う神経障害—神経障害を早期に発見して膠原病を見逃さないために

著者: 野村篤史

ページ範囲:P.1403 - P.1407

Point
◎抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎のような小型の血管炎を疑う場合には,多発性単神経炎の可能性を常に頭に入れておく.
◎末梢神経障害は,メカニズムを考えることで障害されている神経の理解がしやすい.
◎びまん性の中枢神経障害では,感染症や薬剤性,内分泌・代謝性の脳症の鑑別が重要である.

膠原病を疑う血液・尿検査所見

著者: 姜明里 ,   國領和佳 ,   藤田芳郎

ページ範囲:P.1408 - P.1412

Point
◎膠原病診療において,血液・尿検査や自己抗体測定のみで診断することはできない.
◎特徴的な臨床像と検査所見を知り,膠原病を疑うことが診断の第一歩となる.
◎検査前確率の低い状況での自己抗体測定は推奨されない.

関節リウマチの診断と治療

関節リウマチの診断と疾患活動性モニタリング

著者: 日髙利彦

ページ範囲:P.1413 - P.1418

Point
◎関節リウマチ(RA)は,問診,関節および全身の診察,検査,画像検査より総合的に診断する.
◎RAの早期診断に2010年ACR/EULAR新分類基準は有用であるが,類似疾患の鑑別が必要である.
◎血清反応陰性症例では分類されにくいため,関節エコーやMRIなどの画像評価を参考にして診断する.
◎RAの臨床において疾患活動性のモニタリングは非常に重要である.

画像の評価—関節リウマチにおける画像診断の有用性

著者: 小森宏太郎 ,   六反田諒

ページ範囲:P.1419 - P.1423

Point
◎関節超音波検査(関節エコー)によって,関節および関節周囲構造の炎症性/非炎症性の状態を動的に評価することができる.
◎磁気共鳴画像法(MRI)は検者のスキルに依存せずに炎症性滑膜炎や骨びらんを描出できる.

関節リウマチの治療—従来型抗リウマチ薬,非ステロイド性抗炎症薬,グルココルチコイド

著者: 河野正孝 ,   川人豊

ページ範囲:P.1424 - P.1428

Point
◎わが国における治療指針となる『関節リウマチ診療ガイドライン2024』が2024年4月に改訂版として発刊された.
◎薬物治療アルゴリズムでは,“Treat to Target(T2T)”に基づき,速やかに臨床的寛解または低疾患活動性を目指す.
◎関節リウマチと診断された患者は,まずメトトレキサート(MTX)の使用を検討する.
◎MTXを投与開始または増量した際には,3カ月程度は2〜4週ごとに血液・尿検査を行うことが望ましい.
◎非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やグルココルチコイドは関節リウマチ治療における補助的治療薬である.

関節リウマチの治療—生物学的製剤,JAK阻害薬

著者: 平田信太郎

ページ範囲:P.1430 - P.1438

Point
◎関節リウマチに対する分子標的治療薬には生物学的抗リウマチ薬(bDMARDs)と分子標的合成抗リウマチ薬(tsDMARDs)がある.
◎関節リウマチに対するbDMARDsには,腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬,インターロイキン(IL)-6阻害薬,T細胞共刺激分子調節薬が含まれる.
◎関節リウマチに対するtsDMARDsには,ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬が含まれる.
◎関節リウマチに対するb/tsDMARDsは,主としてメトトレキサート(MTX)などの従来型合成抗リウマチ薬(csDMARDs)に効果不十分または不耐性の場合に選択される.

高齢発症関節リウマチの鑑別診断と治療時の注意点

著者: 杉原毅彦

ページ範囲:P.1439 - P.1443

Point
◎高齢発症関節リウマチ(LORA)の一部に,リウマチ性多発筋痛症(PMR)やRS3PE症候群との鑑別困難例が存在する.
◎鑑別診断をしてからステロイド療法を検討する.
◎高疾患活動性,抗CCP抗体陽性LORAはメトトレキサート(MTX),分子標的薬による治療が必要となることが多い.

リウマチ膠原病疾患と鑑別すべき疾患の診断と治療

結晶性関節炎の診断と治療

著者: 喜瀬高庸

ページ範囲:P.1445 - P.1449

Point
◎結晶誘発性関節炎の代表は痛風と偽痛風である.
◎関節液の鏡検により確定診断を行う.関節液の採取が困難な場合や関節液で結晶が確認できない場合は,筋骨格超音波検査などの画像評価を包括した分類基準を用いた診断が有用である.
◎治療の基本は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であるが,副作用が懸念される場合はグルココルチコイド(GC)を使用すべきである.

感染性関節炎の診断と治療

著者: 嶋崎鉄兵

ページ範囲:P.1450 - P.1454

Point
◎急性単関節炎では,化膿性関節炎の可能性を検討する.関節穿刺液での結晶の存在は,感染の可能性を必ずしも否定しない.
◎人工関節感染(PJI)では,関節穿刺液の評価基準が異なる点を理解する.
◎化膿性滑液包炎の疫学,診断を理解する.
◎関節痛は多くの感染性疾患に伴って生じるが,急性期に治療方針が変わる例は限られる.

内分泌疾患(糖尿病,甲状腺疾患など)に伴う筋骨格系症状

著者: 岸本暢將

ページ範囲:P.1455 - P.1459

Point
◎糖尿病,甲状腺疾患などの内分泌疾患に伴って,さまざまな筋骨格系症状を呈することがあり,リウマチ性疾患と誤診されることもある.
◎例えば,糖尿病患者に多い手根管症候群や手掌屈筋腱炎(いわゆる“腱鞘炎”)による手のこわばりと,癒着性関節包炎(いわゆる“五十肩”)による肩の痛みを訴える患者が関節リウマチと診断されて,ステロイド療法が行われ,当然のごとく糖尿病が悪化している症例も散見される.
◎特に頻度の高い糖尿病患者では,手掌屈筋腱炎,五十肩,糖尿病性手関節症などの鑑別疾患を念頭に置いて日常診療を行っていただきたい.

膠原病の診断と治療

全身性エリテマトーデスの診断と治療—SLE分類基準,EULAR 2023治療推奨のポイントとSLE治療の今後の展望

著者: 中井健宏 ,   岡田正人

ページ範囲:P.1460 - P.1467

Point
◎全身性エリテマトーデス(SLE)治療においてはヒドロキシクロロキン(HCQ)投与が重要である.
◎SLE長期管理においては寛解を維持しステロイドを減量することで臓器障害を防ぐことが重要になる.
◎SLE治療においてステロイドの中止を目指すことがコンセンサスとなってきている.

Sjögren症候群の診断と治療

著者: 坪井洋人 ,   東光裕史 ,   松本功

ページ範囲:P.1468 - P.1473

Point
◎本邦の日常診療下におけるSjögren症候群(SS)の診断では,厚生省改訂診断基準(1999年)が汎用されてきた.
◎臨床研究や治験の対象患者の選定基準としては,米国リウマチ学会(ACR)/欧州リウマチ学会(EULAR)の一次性SS分類基準(2016年)が国際的には汎用されており,本邦でも広く用いられるようになった.
◎ACR/EULARの一次性SS分類基準(2016年)では,抗SS-A抗体のみが採用され,分類への寄与が小さいとの理由で抗SS-B抗体は不採用となった.
◎SSが疑われるにもかかわらず抗SS-A抗体陰性の場合には,口唇小唾液腺生検の実施に加えて,抗セントロメア抗体の測定も考慮する必要がある.
◎腺型一次性SSでは,眼局所療法,対症療法としての内服療法(セビメリン,ピロカルピン)が主体となる.

多発性筋炎/皮膚筋炎の診断と治療

著者: 五野貴久

ページ範囲:P.1474 - P.1480

Point
◎多発性筋炎/皮膚筋炎は,自己免疫学的機序で骨格筋に炎症をきたす膠原病である.
◎皮膚筋炎の診断においては,ヘリオトロープ疹やGottron丘疹ないしGottron徴候といった疾患特異的な皮疹を確認することが重要である.
◎筋炎特異的自己抗体の測定は,診断の補助や予後予測に有用であるが,自己抗体が陰性の症例も存在する.
◎診断する際には,皮疹の有無,筋炎特異的自己抗体,筋電図,筋MRIのほか,筋生検を必要に応じて考慮する.
◎間質性肺疾患,心筋障害,悪性腫瘍の併発が予後不良と関連があるため,診断時にこれらの評価を行うことが重要である.

全身性強皮症の診断と治療

著者: 安岡秀剛

ページ範囲:P.1481 - P.1484

Point
◎全身性強皮症は皮膚および全身諸臓器の過剰な線維化および血管障害が重要な問題となる.
◎病態としては線維化・リモデリングが関わっているが,メカニズムは十分に明らかでなく,治療法の確立には至っていない.
◎近年この領域における治療薬の開発が進み,生物学的製剤や分子標的治療および抗線維化薬が応用されるようになってきた.

抗リン脂質抗体症候群の診断と治療—ACR/EULARの新分類基準のポイント

著者: 藤枝雄一郎

ページ範囲:P.1485 - P.1488

Point
◎抗リン脂質抗体症候群(APS)の新分類基準では,臨床基準と検査基準がスコアリングされる.
◎新分類基準は,臨床試験などの研究目的に特異度を重視した基準である.
◎治療は再発予防が重要で,ワルファリン治療が基本である.

IgG4関連疾患の診断と治療

著者: 川野充弘

ページ範囲:P.1490 - P.1495

Point
◎IgG4関連疾患の診断では,病理所見に過度に依存することなく,臨床,血清,画像,病理の4つの側面からバランスよく評価する必要があり,2019 ACR/EULAR IgG4関連疾患分類基準はこのような観点から作成された.
◎IgG4関連疾患は糖質コルチコイドが著効する疾患であり,今のところ糖質コルチコイドが第一選択薬になっている.
◎大動脈周囲炎/後腹膜線維症は,IgG4関連疾患において高頻度に合併する臓器病変であるが,炎症性大動脈瘤を合併した場合,ステロイド治療のみでは破裂の危険があり,人工血管置換術やステントグラフト内挿術などの外科的治療を選択する必要がある.

巨細胞性動脈炎/リウマチ性多発筋痛症の診断と治療

著者: 板金正記 ,   金城光代

ページ範囲:P.1496 - P.1500

Point
◎巨細胞性動脈炎(GCA),リウマチ性多発筋痛症(PMR)に特徴的な病歴を押さえる.
◎GCAにおける超音波検査所見を押さえる.
◎GCA,PMRの最新の治療法を押さえる.

高安動脈炎・結節性多発動脈炎の診断と治療

著者: 中村海人 ,   松井和生

ページ範囲:P.1501 - P.1508

Point
◎若年者の遷延する発熱・倦怠感・炎症反応上昇では,高安動脈炎(TAK)を鑑別に入れる.
◎中高年の不明熱や体重減少で,皮膚・筋骨格系・末梢神経症状などを伴う場合は,結節性多発性動脈炎(PAN)を鑑別に入れる.
◎血管炎の診断の際には鑑別診断が必須であり,特に感染症の除外には細心の注意を払う.

ANCA関連血管炎の診断と治療

著者: 田巻弘道

ページ範囲:P.1509 - P.1513

Point
◎抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の診断には,①臨床徴候の組み合わせ,②組織学的証明あるいはANCAの陽性,③他疾患の除外の3つのプロセスが重要である.
◎ANCA関連血管炎の治療では,疾患活動性に伴うダメージを最小限にするため治療をするのと同時に,グルココルチコイドなどの長期使用に伴う薬剤毒性によるダメージの蓄積を最小限にするように薬剤調整を行う.

Behçet病の診断と治療—診断では「炎症を繰り返す」という病歴が重要

著者: 桐野洋平

ページ範囲:P.1514 - P.1517

Point
◎Behçet病(BD)の診断では再発性が重要である.
◎症状が出現したときに,写真などで記録しておいてもらう.
◎本邦では不全型,腸管型の割合が増えており,診断が難しい.
◎BDの治療は軽症と重症で異なる.

成人発症Still病の診断と治療

著者: 玉井博也 ,   金子祐子

ページ範囲:P.1518 - P.1523

Point
◎成人発症Still病は発熱,関節炎,サーモンピンク疹などを特徴とする炎症性疾患である.特徴的な症状や所見に乏しく,除外診断を要する.
◎高齢発症例も報告されており,診断にあたってはその特徴を把握する必要がある.
◎発症時にマクロファージ活性化症候群を合併する症例では,白血球増加を伴わないなど,典型的所見を呈さないことに注意が必要である.

脊椎関節炎の診断と治療—体軸性・末梢性脊椎関節炎

著者: 辻成佳

ページ範囲:P.1524 - P.1530

Point
◎体軸性脊椎関節炎(axSpA)は強直性脊椎炎(AS)とX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)に大別され,本邦におけるaxSpA発症率は,AS 0.0026%(3,200人),nr-asSpA 0.0006%(800人)である.
◎診断には,2009年ASAS分類基準を活用しながら,除外診断を丁寧に行う.
◎治療に関しては,2022年ASAS/EULAR治療推奨を参考にするとともに,非薬物療法(患者教育,リハビリテーションなど)を組み合わせることが必要である.

緊急性の高いリウマチ膠原病疾患の診断と治療

著者: 萩野昇

ページ範囲:P.1532 - P.1536

Point
◎重篤臓器病変を伴う膠原病では治療を先行しつつ,他疾患の慎重な除外を行う.
◎特に感染症と膠原病の鑑別が困難な場合がある.
◎感染症を契機とした膠原病の増悪にも注意が必要である.

膠原病関連症状に対する治療

グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症

著者: 小澤廣記

ページ範囲:P.1537 - P.1545

Point
◎ステロイドを長期処方する患者では,必ず骨粗鬆症対策を行う.
◎ビタミンDとカルシウムの摂取を指導・処方する.
◎圧迫骨折のスクリーニングと骨密度検査による骨折リスク評価を行う.
◎骨折リスク・背景疾患に応じて骨粗鬆症薬を選択する.
◎骨密度検査をフォローしながら,逐次療法を考慮する.

妊婦・家族計画中におけるリウマチ・膠原病の対応について

著者: 中井健宏

ページ範囲:P.1546 - P.1553

Point
◎膠原病合併妊娠ではpreconception careを行い,妊娠に適した内服薬で疾患活動性を安定化し,病状的に必要な最低限のステロイド内服量に減量したうえで妊活を開始することが望ましい.
◎全身性エリテマトーデス(SLE)合併妊娠ではpreeclampsiaのリスクが高く,適切な予防を考慮する.
◎抗SSA抗体陽性妊娠では,新生児ループスに注意が必要である.

連載 日常診療で役立つ 皮膚科治療薬の選びかた・使いかた・8

保湿剤② 保湿剤の選びかた

著者: 松田光弘

ページ範囲:P.1369 - P.1373

Q問題
図1の皮疹に使用する保湿剤はどれが良い?
a ワセリン(プロペト®
b ヘパリン類似物質クリーム(ヒルドイド® クリーム)
c 20%尿素クリーム(ケラチナミン® コーワクリーム)

ケースでみる 心理学×医療コミュニケーション!・3

患者理解に役立つ情報をどのように収集するか(2)

著者: 五十嵐友里

ページ範囲:P.1555 - P.1558

これまでのおさらい
 第1回は「広義の認知行動療法」における患者理解が医療コミュニケーションに役立つことを説明し,そのキーポイントとして①ミクロな問題理解,②マクロな問題理解,③協働的経験主義を挙げました.そのうち,第1回では③協働的経験主義,第2回では②マクロな問題理解を取り上げました.今回は,①ミクロな問題理解について詳しく解説したいと思います.

ここが知りたい! 欲張り神経病巣診断・38

身体が痛い!? 神経痛? 外来でよく診る皮膚の神経障害

著者: 難波雄亮

ページ範囲:P.1560 - P.1564

 「皮膚がピリピリする」と訴える患者さんから,よく「脳梗塞でしょうか?」と聞かれることがあります.神経痛の性状は「電気が走るような」「鋭い痛みが一瞬走る」など,患者さんごとにさまざまな表現があります.原因がわからない疼痛もなかにはありますが,視診と神経診察で原因がはっきりするものも多いです.それでは,その一例を一緒に勉強していきましょう.

目でみるトレーニング

問題1099・1100・1101

著者: 尾城啓輔 ,   香月健志 ,   岩崎靖

ページ範囲:P.1565 - P.1570

書評

—上條 吉人 著—臨床中毒学 第2版

著者: 福島英賢

ページ範囲:P.1489 - P.1489

 2009年に発刊された上條吉人先生の『臨床中毒学』の第2版が満を持して上梓されました.
 上條先生がこれまで経験された急性中毒はもちろんのこと,国内外の多くの研究者が研鑽を積んで明らかにしてきた毒物の奥の深いメカニズムや臨床症状,全身管理に始まる治療について非常に詳細に記載されています.また多くの症例提示もあり,日常の急性中毒の診療において必要不可欠な一冊となっています.

—下妻 晃二郎 監修 能登 真一 編—臨床・研究で活用できる!—QOL評価マニュアル

著者: 齋藤信也

ページ範囲:P.1531 - P.1531

 医療関係者でQOLという言葉を知らない人は皆無ではないかと思う.私は外科医であるが,外科ではこれまで根治性を重視し,QOLを軽視しがちであった歴史がある.そこに乳房温存や,機能温存手術が導入される中で,それがもたらすQOLの改善を測ってみたいという素朴な気持ちが生じてくる.ところがいざQOLの測定となると,使用可能な日本語版尺度がなかったり,あったとしても,不自然な日本語で,それをわかりやすく変更しようとすると「そんなことをしてはいけない!」と言われたり,さらには「勝手に使うと著作権者から訴えられるよ」などと脅かされると,少し気が萎えてくる.加えて,信頼性とか妥当性とか,測定特性とか計量心理学の用語が頻出すると「うーん」となってしまいがちである.
 そこに現れた待望の一冊が本書『臨床・研究で活用できる! QOL評価マニュアル』である.編者の能登真一先生は,理論と実践の両面にわたり,斯界を牽引してきたリーダーでもあるが,同書を「臨床・研究で『活用』できる『マニュアル』」と明確に性格付けている.背景となる理論は過不足なくコンパクトにまとめられているうえに,「尺度別」に具体的な記載がなされている点がユニークである.「マニュアル」としてその尺度の特徴,開発経緯,日本語版の開発,版権の使用に当たっての注意点,質問票そのもの,スコアの算出方法と解釈,測定特性,エビデンスが,一覧できる利便性の大きさは類書にはないものである.しかもわが国でその尺度を開発(翻訳)した当事者がその項目を執筆しているということで,版権のことも具体的でわかりやすく記載されている.これ一冊あれば,QOL測定のハードルはとても低くなる.

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目次

ページ範囲:P.1374 - P.1376

読者アンケート

ページ範囲:P.1571 - P.1571

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.1572 - P.1573

購読申し込み書

ページ範囲:P.1574 - P.1574

次号予告

ページ範囲:P.1575 - P.1575

奥付

ページ範囲:P.1576 - P.1576

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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特集 枠組みとケースから考える—消化器薬の選び方・使い方

55巻13号(2018年12月発行)

特集 これからの心不全診療への最新アプローチ—予防からチーム医療・先進医療まで

55巻12号(2018年11月発行)

特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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