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文献詳細

雑誌文献

medicina7巻1号

1970年01月発行

Cyclopedia Medicina

膜性腎症

著者: 石川栄世1

所属機関: 1慈恵医大病理

ページ範囲:P.91 - P.92

文献概要

 大量の蛋白尿とネフローゼ症候群とを伴い,形態的には腎糸球体毛細管の基底膜に特徴ある変化を示す腎疾患である.本症に最初に注目したのはBellらであるが,彼らは単に糸球体腎炎の1型として考えた.これが独立したdisease entityであるかどうかは未だはっきりしていないため,いろいろの名称が同義語として使われている—膜性腎炎(membranous glomerulonephritis),膜性ネフローゼ(membranous nephrosis),膜性糸球体症(membranous glomerulopathy),特発性糸球体腎炎(idiopathic glomerulonephritis)など.この混乱を整理する意味において,EhrenreichおよびChurgは,1966年に膜性腎症なる新らしい名称を提唱した.
 臨床像はネフローゼ症候群のものと同じである.すなわち,大量の蛋白尿,浮腫,低蛋白血症,高コレステロール血症などで,その他血尿,糖尿,高血糖,尿素窒素の上昇,血圧の上昇などをみることがある.腎症は多くの場合はっきりしないが,通常,長い経過をたどる.ただし,重症例は1年以内に腎不全のため死の転機をとることがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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