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文献詳細

雑誌文献

medicina7巻11号

1970年10月発行

文献概要

臨床メモ

無症候性蛋白尿

著者: 中田不二男1

所属機関: 1東京船員保険病院第2内科

ページ範囲:P.1575 - P.1575

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 外来診療時あるいは健康診断時の検尿で偶然に蛋白尿を発見することは多いものである.昭和39-40年の2年間に本院で健診時検尿を行なった2656例(男子2492例,女子164例)のうちスルフォ法で(+)以上の蛋白尿を認めたのは男子の11%,女子の15%に当たっていた.
 健診で蛋白尿を発見した場合は必ずもう一度検尿をくり返してみる.生理的な一過性の蛋白尿や無害の起立性蛋白尿を除外するためである.持続的な蛋白尿が確実であれば,さらにくわしい腎機能検査を行なう.こうして健診で発見される無症候性蛋白尿を呈する疾患の中で,最も重要なものはいわゆる原発性の慢性糸球体腎炎である.ある患者は健診時に蛋白尿を発見したことに端を発して慢性腎炎として入院,約1年の経過で死に至った.剖検によって亜慢性糸球体腎炎であることを確かめた.慢性糸球体腎炎は元来自覚症状が非常に少ないので,こうした偶然の機会に発見されることが多く,それを考えると「検尿すること」の意義を痛感する.またこの場合,尿蛋白はペーパーテストで簡単に行なえるが,少しめんどうでも尿沈渣をみることが重要であり,私自身もそれを励行している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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