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症例
高安氏動脈炎(脈なし病)
著者: 山根暁一1
所属機関: 1淀川キリスト教病院内科
ページ範囲:P.1722 - P.1724
文献購入ページに移動 上肢で脈拍の触れない疾患に対して,脈なし病,高安氏動脈炎(Takayasu's Arteritisin Young female),大動脈弓症候群といろいろの病名ないしは症候名がつけられており,これらが必ずしも同一疾患を示しているものではない.1908年高安右人が「奇異なる網膜中心血管変化の1例」を報告し,この時大西が同様眼底所見を有する患者で橈骨動脈の触知しなかったことを述べている.その後1948年清水・佐野は今までの症例に自験例を加えた30例につき「脈なし病」としてその病型の確立につとめた.これに対してRoss・McKusickは1953年大動脈弓から分枝する動脈の脈拍の減弱ないしは消失するものに対して大動脈弓症候群(Aortic arch syndrome)として発表している.しかしこの大動脈弓症候群は主として,その原因を梅毒性動脈炎,動脈瘤,または先天性血管奇型とか胸部外傷に続発しておこった動脈硬化性変化などにより,分枝血管の完全,または不完全閉塞を来たすものを主としてとりあげ,その中でまた一部に日本で好発しているものにIdiopathicArteritisとして述べたにすぎなかった.
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