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治療のポイント
胃潰瘍の手術適応—内科医の立場から
著者: 和田武雄1
所属機関: 1札医大第1内科
ページ範囲:P.1823 - P.1825
文献購入ページに移動 胃潰瘍の発生頻度はいまだに本邦では欧米の例よりも比較的高率に認められるが,このことから胃癌との関係が当然注目され,それだけに手術適応の決定についても内科側においては注意が必要であるとされていた.実際問題としては,胃潰瘍の経過観察が詳細に行なわれるようになり,一方ではまた早期胃癌の症例が多数に発見されるに伴って,両者の関係は当初危惧されていたほどには密接なものでないことがしだいに明らかになってきた.それとともに,胃潰瘍は一般にきわめて治癒しやすく,また再発しやすい性質のものであることが再認識され,その治療をめぐる論議は再び内科的にという声が高まりつつあるようでもあるが,むろん今もって注目課題の一つであることは変わらない.
これを手術適応面にしぼって考える場合には,まず本症の予後がきわめて良好であり,その加療当初における内科的治療の基本方針を誤らなければ,個々の例についての細目はむろん万別であるとしても,従来ほどには手術を急ぐべきものではないことを強調したいし,それには手術後にしばしば見られるダンピング症候群や癒着障害などを数えあげれば,いっそう考慮の余地があることを指摘したい.しかし同時に内科治療に拘泥するのあまり,手術適期を失してその予後を悪化せしめる責任についての再反省も忘れてはなるまい.
これを手術適応面にしぼって考える場合には,まず本症の予後がきわめて良好であり,その加療当初における内科的治療の基本方針を誤らなければ,個々の例についての細目はむろん万別であるとしても,従来ほどには手術を急ぐべきものではないことを強調したいし,それには手術後にしばしば見られるダンピング症候群や癒着障害などを数えあげれば,いっそう考慮の余地があることを指摘したい.しかし同時に内科治療に拘泥するのあまり,手術適期を失してその予後を悪化せしめる責任についての再反省も忘れてはなるまい.
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