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解離性大動脈瘤
著者: 初音嘉一郎1
所属機関: 1東京女子医大心研
ページ範囲:P.549 - P.553
文献購入ページに移動 解離性大動脈瘤は突如として発症し,多種多様の,時には心筋硬塞,狭心症を,時には脳溢血急性腹症などを想起せしめる症状を呈するため,それらの疾患と誤診されやすいが,より急激な経過をたどり,大多数の症例がきわめて短時日内に死亡する重篤な疾患である.そのため比較的最近まで望みのない疾患とされてきたが,現在では生前正しい診断がつけられれば,十分手術により救命しうる.したがって迅速正確な診断を下すことが必要である.
解離性大動脈瘤,あるいは剥離性大動脈瘤といわれる疾患は古くから知られている疾患であるが,臨床的に意義のある疾患として取り扱われるようになってきたのは比較的最近のことである.これは元来,この疾患の頻度がそれほど高くないことにも一因はあるが,最大の原因は疾病の経過が非常に急激で,診断も治療もできないうちに患者が死亡してしまうことによるものであろう1-3).しかしながら,血管外科学の飛躍的な進歩により大動脈の切除移植が安全確実に行なわれうるに及んでDeBakey氏4)らはこの重篤な疾患の手術に挑戦し,1955年に初めてその手術成功例を報告した.以来本疾患は手術の可能な外科的疾患として注目を集めるようになり,諸外国ではぞくぞくとその手術成功例が報告されるに及んで,その臨床診断学的意義が重要視されてきた5-7).
解離性大動脈瘤,あるいは剥離性大動脈瘤といわれる疾患は古くから知られている疾患であるが,臨床的に意義のある疾患として取り扱われるようになってきたのは比較的最近のことである.これは元来,この疾患の頻度がそれほど高くないことにも一因はあるが,最大の原因は疾病の経過が非常に急激で,診断も治療もできないうちに患者が死亡してしまうことによるものであろう1-3).しかしながら,血管外科学の飛躍的な進歩により大動脈の切除移植が安全確実に行なわれうるに及んでDeBakey氏4)らはこの重篤な疾患の手術に挑戦し,1955年に初めてその手術成功例を報告した.以来本疾患は手術の可能な外科的疾患として注目を集めるようになり,諸外国ではぞくぞくとその手術成功例が報告されるに及んで,その臨床診断学的意義が重要視されてきた5-7).
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