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雑誌文献

medicina7巻6号

1970年05月発行

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Current Abstract

低血糖症—Annals of sugery, May, 1969

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ページ範囲:P.644 - P.644

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 Williamsらは,低血糖症の原因を総説しているが,そのさいとくに島細胞腫瘍islet cell tumorに注目すべきことを強調している.低血糖症は,隆能的疾患から生じることもあれば,器質的疾患から起きることもある.器質的原因の1つに,インスリン分泌の増加がある.たとえば,インスリノーマや島細胞ガン,まれに線維肉腫その他の腫瘍のばあいが,それである.低血糖症はまた,ブドウ糖の供給が不十分でも生じる.たとえば,飢餓あるいはブドウ糖の利用過剰のばあいがそれである.各種の肝疾患でもまた異常に低い血糖値が生ずることがある.ホルモン欠乏症,たとえばアジソン病や甲状腺機能低下症のばあいにも低血糖が起きうるのである.インスリンを過剰投与しても生じるが,またスリフォニル尿素を投与しても生じる.
 低血糖のために,神経学的または精神病学的な状態そっくりな症状が起きかねない.診断がつくまでには,症状の発現後数カ月または数カ年かかることもある.綿密な検査をすれば,器質的な低血糖と機能的なそれとは区別できるものである.空腹状態を遷延させる方法,トルブタマイド静注法,血漿インスリン免疫検定法などは,最もすぐれた診断方法である.トルブタマイド法は,血清インスリン値の同時測定法と組みにすれば,島細胞腫瘍にきわめて特異的な検査法といえる.空腹状態の遷延のばあいには,血清インスリン値の測定が有用である.というのは,島細胞腫瘍以外の病変のばあいには,測定可能な血清インスリンはほとんどないはずだからである.腫瘍の位置をつきとめるには,血管造影法が有用である.器質的な低血糖症と判明すれば,手術を行なう.たいていのばあい膵臓の良性島細胞腫である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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