icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina7巻6号

1970年05月発行

臨時増刊特集 日常役立つ診療技術

診断篇 III.循環器系疾患の診断技術

8.直腸毛細管圧

著者: 井上十四郎1 森容一郎2

所属機関: 1慈大高橋内科 2慈大内科

ページ範囲:P.711 - P.713

文献概要

 肝硬変症,バンチ症候群において門脈圧の上昇することは以前より知られており,Gilbertらはこれらの疾患に門脈高血圧症Portal Hypertensionということばを使用している.
 門脈の上昇は門脈系から肝を経て全身静脈系に至る経過中に,その狭窄ないし閉塞をきたし,循環抵抗の増大する結果として現われる.したがって閉塞部位によって肝内性・肝外性門脈高血圧症に分類される.従来,臨床的に門脈高血圧症を知る方法としては,副側血行路の発達,すなわち腹壁静脈怒張,食道静脈瘤の出現,痔核ならびに腹水貯溜,脾腫などによりこれを推測していた.ところがMall(1892年)が動物で門脈圧をはじめて測定して以来,人での門脈圧は多くは外科医により開腹時に直接測定され,肝硬変症,門脈閉塞症でその上昇が観察されている.その正常値は60-200mmH2Oで,200mmH2O以上では門脈高血圧症と診断してよいといわれる.近年また,肝静脈カテーテルを肝静脈に閉塞させて測定する閉塞肝細静脈圧は,一部の門脈閉塞症をのぞき門脈圧に近似することから臨床的に広く応用されている.しかしいずれも患者の負担,手技の煩雑な点ですべての患者に施行することは困難であり,また特殊な設備を有するところ以外では測定が困難である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら