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文献詳細

雑誌文献

medicina7巻6号

1970年05月発行

文献概要

臨時増刊特集 日常役立つ診療技術 診断篇 X.内分泌系疾患の診断技術

3.血中ホルモンの定量

著者: 熊原雄一1

所属機関: 1阪大中検

ページ範囲:P.812 - P.816

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 血中ホルモンの正確な定量はその代謝回転が非常に早いものが多く,かつ低濃度であるためごく最近までは,もっぱら研究的なものに限られ実地診療に用いられるものは稀といってもよい状態にあった.しかし最近,種々の新しい原理に基づく測定法―competitiveprotein binding analysis,radioimmunoassay,thinlayer chromatography,gas chromatographyなど―の開発によって,血中ホルモン測定もわれわれ臨床医の射程距離内にはいり,ホルモンとその臨床をめぐる知見は面目を一新したということができる.もちろん現在知られているすべてのホルモンの血中動態を知りうるまでには至っていないが,その可能性の達成はそんなに遠い将来とは思われず,この方面の進歩は急速に押しすすめられている.血中物質濃度比較を表1に示す.
 これらの測定法の進歩のうち,理論的にユニークで手技的に実地診療と関連ぶかいのは,競合結合の原理に基づく分析法,すなわちcompetitive protein binding analysisで,結合蛋白に抗体を用いるさいをradioimmunoassay(放射免疫測定法)とよび,両者を併わせradiostereoassayともいっている.この理論はある物質が特殊の蛋白と特異的に結合することを利用して,微量の物質を測定するもので,たとえば,血中サイロキシン(T4)測定の場合は(図),131I(あるいは125I)標識T4が標識されていないT4と競合しながら血漿中のT4結合蛋白(TBG)と結合することを利用する.実際には検体血漿から抽出したT4に,あらかじめ131I-T4を加えた血清(TBGを含む)を加え,incubationの後,TBGと結合したT4と結合しない遊離のT4を分け,その割合を放射活性で知り,未知検体のT4量を測定する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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