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文献詳細

雑誌文献

medicina7巻8号

1970年07月発行

文献概要

日常検査とその限界

コレステロールとβリポ蛋白

著者: 中野栄二1

所属機関: 1日大臨床病理

ページ範囲:P.1146 - P.1147

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コレステロールとβリポ蛋白測定の背景
 血清中の脂質の大部分はアポリポ蛋白と結合し,リポ蛋白として水溶性の形で血液中に存在している.リポ蛋白は超遠心法および電気泳動法によっていくつかの分画に分けられ,それぞれの分画は種々の割合で中性脂肪,コレステロール,燐脂質を含有している(図1).このほか,ごく微量の遊離脂肪酸がアルブミンと結合し,主として中性脂肪から成る乳歴粒(カイロマイクロン)も存在する.血清中脂質の臨床検査には,脂質成分のみを生化学的に測定する場合とリポ蛋白の各分画を測定する場合がある.前者の代表的なものとしてコレステロールの測定があるが,その他の脂質成分については検査手技が複雑であり日常臨床検査としてはまだ普及していない.
 リポ蛋白の分画には支持体電気泳動法が有用であるが,簡易法としてはβリポ蛋白の免疫学的な半定量的測定が急速に普及しつつある.βリポ蛋白は,他の分画に比ベコレステロールが多量に含まれているので,コレステロール定量値と相関関係が見られる.しかしこの免疫学的検査法では,βリポ蛋白と共通な抗原性を持ち,中性脂肪を多量に含むpre-βリポ蛋白も含まれて定量される.したがって,中性脂肪のみが増加している場合(高リポ蛋白血症Type IV-Fredrickson)には,コレステロールの著増がなくともβリポ蛋白値が高くなるわけである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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