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内科専門医のための診断学・13
臨床肺機能検査—検査法の選択と自動化
著者: 西本幸男1
所属機関: 1広大第2内科
ページ範囲:P.50 - P.56
文献購入ページに移動1846年Hutchinsonがスパイロメーターによって肺活量を測定したが,これは近代における肺生理学の曙ともいうべきものであろう.その後肺生理学の分野においては,次々と新しいアイデア,あるいは新しい装置による研究が積み重ねられて今日の盛況を呈するに至っている.しかしながら他方,あまりにも急速な肺生理学の進歩のため,数多くの検査法は統合整理される暇もなく放置され,その臨床的応用に当たり取捨選択に迷う事態も生ずるに至っている.ここに「臨床肺機能検査」という考え方を導入する必要性が生じてきたわけである.この臨床肺機能検査に対する筆者なりの考え方は「呼吸と循環」18巻9号の巻頭言1)として述べておいたのでくり返さないが,対象が患者であり,学問的興味よりも,予後・重症度を含め,機能的診断や治療方針の確立に直接役だつ検査体系の確立が優先されなければならない.
今回,本誌編集部で企画された「内科専門医のための診断学」の一環として臨床肺機能検査が取りあげられたのを機会に,いささかの私見を述べてみたい.
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