文献詳細
文献概要
Leading Article
新しい職業病
著者: 久保田重孝1
所属機関: 1労働衛生サービスセンター
ページ範囲:P.1438 - P.1439
文献購入ページに移動「新しい」ということの意味
新しい職業病といえば,最近になって新しく発見された職業病,すなわちこれまでの日本では発見されなかった,新しい種類の職業病という意味にとるのが普通である.また,実際に今の日本にも,もちろんこのような新しい種類の職業病はある.しかし,実をいうと,このような意味の職業病は,職業病全体の中ではあまり大きな部分を占めていないのである.
例をあげるとよくわかると思うが,たとえば合成樹脂や繊維の原料として有名な,アクリロニトリルをはじめとする各種ニトリルの中毒はこの好例である.アクリロニトリルのほかに,グリコロニトリル,コハクジニトリル,ラクトニトリルなど,多くのニトリル化合物の中毒が日本にも発生したが,いずれも最近の数年間に主としておこっており,少なくとも昭和30年以前にはほとんど報告されていなかった中毒である.そしてこの中には2例の死亡例が含まれていることからもわかるように重症例が多いが,しかし,全体としての発生例はあんがいに少なく,昭和32年以降に報告された全例を集めても64例にすぎない.
新しい職業病といえば,最近になって新しく発見された職業病,すなわちこれまでの日本では発見されなかった,新しい種類の職業病という意味にとるのが普通である.また,実際に今の日本にも,もちろんこのような新しい種類の職業病はある.しかし,実をいうと,このような意味の職業病は,職業病全体の中ではあまり大きな部分を占めていないのである.
例をあげるとよくわかると思うが,たとえば合成樹脂や繊維の原料として有名な,アクリロニトリルをはじめとする各種ニトリルの中毒はこの好例である.アクリロニトリルのほかに,グリコロニトリル,コハクジニトリル,ラクトニトリルなど,多くのニトリル化合物の中毒が日本にも発生したが,いずれも最近の数年間に主としておこっており,少なくとも昭和30年以前にはほとんど報告されていなかった中毒である.そしてこの中には2例の死亡例が含まれていることからもわかるように重症例が多いが,しかし,全体としての発生例はあんがいに少なく,昭和32年以降に報告された全例を集めても64例にすぎない.
掲載誌情報