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文献詳細

雑誌文献

medicina8巻12号

1971年11月発行

治療のポイント

高血圧と食塩

著者: 宮原光夫1

所属機関: 1札医大第2内科

ページ範囲:P.1758 - P.1760

文献概要

依然変わらぬ食塩制限の重要性
 食塩の制限によって浮腫が改善されることがわかってから間もなく,今世紀初めに,フランスの学者が食塩の制限によって高い血圧が低下し,逆にその負荷によっていっそう高くなる事実を見いだした.その後フランス,さらには世界的に,高血圧治療上の食塩制限の効果が検討されるに至った.そして食塩で問題になるのは,当初考えられたClではなくNaであること,認めるべき降圧を得るにはNaの1日量は500mg以下,場合によって200mg以下という小量でなければならないこと,高血圧の型・重症度の違いなどによって制限の効果は異なり,悪性高血圧ではほとんど無効で,重症の本態性高血圧症の約1/4で明らかな降圧効果のあることなどが知られた1)
 しかし,このように全患者に有効なわけではなく,またかなりきびしい制限を長期に行なうことは必ずしも実用的な治療法とはいえない.それにもかかわらず,安静や他の食餌療法とともに,食塩制限が長い間高血圧の治療の根幹をなしてきた.それは現在用いられているようなすぐれた降圧剤が無かったことにもよるが,食塩と高血圧との問に密接な関連のあることが知られてきたからである.そしてまた高血圧の治療には薬物療法が主体となってはいる現在でも,程度の差こそあれ食塩制限の重要性は依然として変わらない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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