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一般医のための救急診療のコツ
薬剤注射でショックを起こしたとき
著者: 坂元正徳1 井上昇2
所属機関: 1国立王子病院 2国立王子病院内科
ページ範囲:P.1920 - P.1921
文献購入ページに移動薬剤注射でおこすショックの原因は,アナフィラキシーと考えられている.本体は抗原抗体反応であるが,薬品の多くは蛋白質のような完全抗原ではなく,血清蛋白質と結合して抗原性をもつハプテン(半抗原)である.したがって,蛋白質以外の薬品の投与によってショックを起こす場合には,起こした生体の素因が重要な意義をもっている.しかし,実地上こういった過敏症の人を完全にスクリーニングできる方法は現在のところない.
薬剤注射後5-15分以内に,時には注射針をぬかないうちに,低血圧,四肢厥冷,意識障害などの循環不全症状や気管支端息様の発作,声門浮腫などによる気道狭窄症状を呈して,一部は死の転帰をとることがある.したがって症状をみきわめて臨機応変な救急処置をとる必要がある.早く治療を始めれば,当然のことながら予後は良好であるので,日頃対策をたて準備をしておくことが肝要である.
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