icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina8巻4号

1971年04月発行

病態生理—最近のトピックス

ネフローゼ症候群と制御理論の導入

著者: 古川俊之1

所属機関: 1阪大第1内科

ページ範囲:P.464 - P.465

文献概要

浮腫とアルドステロン分泌
 ネフローゼ症候群の浮腫にアルドステロン分泌亢進が伴う事実は,Luetcherら(1955)がはじめて明らかにしたが,今日,二次性アルドステロン症は生体のホメオスターシス維持を担う制御系の異常として理解されている.
 すなわちネフローゼ症候群で低アルブミン血症が起こると血漿膠滲圧が低下し,毛細血管壁を介する体液分布平衡が乱れて組織間液は相対的に増し,循環血漿が減る.その結果腎血流量が低下すると旁糸球体装置からのレニン放出が促され,これが血中アンジオテンシノーゲンを分解してアンジオテンシンIを作る.アンジオテンシンIは血中の酵素の働きによって活性型(II)となるが,後者は強力なアルドステロン分泌促進効果をもつ.こうして分泌されたアルドステロンは主として腎の遠位尿細管に作用して,Na再吸収,K,H排泄を促進する.Na再吸収は一部ADH系を介して水の再吸収をひきおこし,これは細胞外液増加をもたらす.この反応は新しい体液平衡条件が満足されるまで続き,組織間液の増加,すなわち浮腫を生じる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら