medicina8巻4号

1971年04月発行

各科のトピックス 眼科から

有機燐農薬眼病

著者： 石川哲¹ 宇尾野公義² 瀬川昌也³

所属機関： ¹北里大眼科 ²東大第3内科 ³東大小児科

ページ範囲：P.510 - P.511

　有機燐およびカルバメート系農薬（以下「P」と略）は，強力なコリンエステラーゼ阻害剤でBHCなどの有機塩素系農薬とともに殺虫剤として全国で大量に散布されている．わが国の「P」散布量は世界一であり西ドイツ等の10-15倍も使用（単位耕地面積当たり）されている．今回紹介する有機燐眼病もその害の氷山の一角に過ぎない．また農薬による疾病も1農村にとどまらず，食品に残留してどんどん都市に入り，また飲料水にも残留するので，本症は都市の中央部でもどんどん患者が増え続けている．