icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina8巻4号

1971年04月発行

読後随想

医学小説は存在するか—有吉佐和子著:華岡青洲の妻

著者: 長洲光太郎1

所属機関: 1関東逓信病院外科

ページ範囲:P.513 - P.513

文献概要

 昨年東京の芸術座で本書が舞台に上がっていた.シュワイツァの小説は書きにくいだろう.ポールムニの演じたパスツールの映画は戦前の名作だったが,ペーターローレの演じたレンブラン伝より劣った.
 崇高なるヒューマニズムに貫かれた医者を主人公にした小説はどうもつくりにくいらしい.良く書こうとすれば甘味が勝って,作者ひとりよがりになる.本格小説ではきれいごとばかり書いてもしかたがない.小説構成がむずかしい.それをちゃんとやらぬと,飛行機乗りの空戦自慢話や特攻隊涙の壮挙などのように,小説とはなりえないのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら