icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

medicina8巻6号

1971年05月発行

雑誌目次

●全体的な把握 I.At a glanceの診断

1.神経内科の立場から

著者: 里吉営二郎 ,   本多虔夫

ページ範囲:P.686 - P.688

 神経系は身体のすべての部分にゆき渡り,これを支配すると共に,この各部が協同して種々の機能を円滑に行なうようにさせる器官であるから,神経疾患の診断に当たっては,患者の各部分の注意深い観察と共に,その各部の機能の総合としての,更に大きな,いくつかの機能にも観察の重点をおくことが非常に大切である.
 このような総合機能は,われわれの日常の行動の一部としてみられるもので,その診察は診察台において行なうよりも,患者が診察室に入り,診察台に坐り,自覚症状を訴える間に,それらの動作を通じて観察すべきものである.

2.循環器科の立場から

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.688 - P.690

 患者を一見して,どのような病気を考えるかということを,以下の如く分類して記載する.

3.呼吸器科の立場から

著者: 本間日臣

ページ範囲:P.690 - P.692

患者が診察室に入ってから椅子に坐るまで
 歩き方  何の故障もなく平然と歩いてくるか,息をはずませながら歩くか.介助者に支えられているか.息切れの程度を観察する.

4.消化器科の立場から

著者: 三輪清三

ページ範囲:P.693 - P.695

 およそ患者の診断には既往歴・現病歴にもとづいて現症をみるわけであるが,最も簡単でいつでもでき,しかもあまり誤差の少ないところの視診,触診あるいは嗅診などが,最近諸検査法の進歩分担制のためにややもすると軽視され易い傾向にあることは,まことになげかわしい次第である.
 詳しい諸検査をやる前にまずこれら上記の診断法により大体の見当がついてしまうことが多い.ある場合には詳しい数字的の諸検査よりもむしろ精確である場合さえ経験している.しかしこのAt a glanceの診断というものには,やはりある程度の経験の積み重ねというものが必要となってくるので,何でもかでもこれで片づけることの危険性は十分心得ておかなければならない.

5.内分泌科の立場から

著者: 尾形悦郎

ページ範囲:P.696 - P.698

 巨人症,(成長ホルモン欠損による)こびと症は言うまでもなく,Basedow病,Cushing症候群あるいは他の内分泌疾患についても,熟練してくれば,at a glanceでその診断についてのclinicalimpressionのえられる場合が少なくない.ついで,このclinical impressionを支持する,あるいは除外する身体所見および検査室所見を集めるという作業に入るわけである.内分泌疾患の多くについて,ある特定の疾患が疑われさえすれば,最近の内分泌学の進歩により,時間と費用はかかるが,正確な診断に到達することはそれほどむつかしくない.したがって実地臨床上,内分泌疾患診断の過程で,その最初のきっかけをつくるclinical im-pressionがとくに大切になってくる.以下,比較的頻度の多い内分泌疾患に対象を限定し,解説をすすめる.

6.内科開業医の立場から

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.698 - P.701

 30年になんなんとする筆者の臨床経験のなかから,強く印象に残っている例を2,3あげて,学校出たての若い方がたのための参考に供したいと考える.おそらく,これから述べようとするところは,他の項で述べられる他の専門医の先生がたの記述と多かれ少なかれ重複するだろうと思われるが,その点はご寛容のほどをお願いしたい.

7.小児科の立場から

著者: 巷野悟郎

ページ範囲:P.701 - P.704

 小児は自覚症状を言葉で表現することはできないが,もし健康にとって支障をきたすような異常な状態がおこったときには,殆んど機嫌が損われるものである.そして不快な状態になれば,食欲は低下し,また熟睡しなくなる.更にこのような状態が続けば,発育ことに体重増加旦が少なくなる.これらの症状は病状に平行して正直に現われるので,診察をするうえにも,また病気の軽重を判断するうえにも観察を忘れることができない.

II.精神と意識

1.精神病か神経症か心身症かのふるい分け

著者: 金久卓也 ,   吉牟田直

ページ範囲:P.706 - P.709

まず心得ておくべきこと
 1)精神病(psychosis),2)神経症あるいは精神神経症(psychoneurosis),3)心身症あるいは精神身体症(psychosomatosis),という3つのカテゴリーを考えるとき,それぞれの中核群ともいうべき定型的な症例では,診断は比較的容易である.しかし,中核群の外延には,非定型的な症状を呈する周辺群の患者がたくさんあり,それぞれの群は相隣接し,ある部分では重複し,クリアカットに診断を下しにくい場合も多い.これを図示すると図1の通りである.

2.精神医学的アプローチ

著者: 中沢恒幸

ページ範囲:P.710 - P.712

 精神障害の診断には意識,注意,了解,記憶,思考,感情,意志などの障害を他領域と同じく一定の順序に従って検索するルールがある,もちろん精神症状は純粋な客観性をもつことが困難な場合や,いろいろな制約(たとえば患者が口を閉ざして一言もしゃべらない,特別の企図をもつ詐病や教養の低さからくる表現能力の差異)があり,また種々の補助診断法を施行しえないときには患者の表情,態度,言動が重視される.

3.意識障害の程度の診かた

著者: 里吉営二郎 ,   本多虔夫

ページ範囲:P.712 - P.714

 「意識がある」とか「意識がない」という言葉は日常,非常に多く使われる言葉であり,深い考えなしに使われるのが普通である.しかし.時によって,意識があるのかないのか容易に決められない症例に出くわすのは誰もが何回か経験していることであると思う.このような時に,それでは意識とは何かと考えてみると,誰もが異議なしに同意できるような答はなかなか与えられない.従って,ここではRaymond Adamsに従って,「意識とは,その周囲を知覚している状態」と定義したい.勿論,患者が周囲を正確に意識しているがどうかは,医師はその行動と言葉から判断するほかはない.従って,正常の意識をもっている患者とは,「その行動,言葉からみて,その周囲を正確に知覚していると考えられる者」である.

III.生命徴候 vital signs

1.熱

著者: 日野志郎

ページ範囲:P.718 - P.722

 大学病院などは別として,われわれが日常扱う患者の訴えのなかで熱はもっとも多いものの1つであろう.しかし一口に熱といっても,急に出た高い熱,なかなか下がらない熱,持続する微熱などに分けて考えることができる.ただ注意しなければならないことは,患者が熱を訴えてきたばあい,熱感だの顔がほてることなどを熱と称することがあるから,それをすぐに体温の上昇と解釈してはならない,体温を測ってみた上でのことか,念を押す必要がある.

2.脈

著者: 高階経和

ページ範囲:P.723 - P.728

脈の臨床生理学的意義
 近年,脈波計の普及とともに,脈波,とくに動脈波の解釈と臨床的応用が非常に重要視され,臨床診断の一助として実地医家の間において重宝がられるようになったことは事実である.
 しかし,動脈波の持つ臨床生理学的な意義については,その理解よりも応用が先行し過ぎていることもまた,事実である.

3.血圧

著者: 高階経和

ページ範囲:P.728 - P.730

血圧の測定
 血圧は,どんな体位においても測定できるが,標準の姿勢は仰臥位であり,心臓の高さにおいて血圧を測定しなければならない(図1).測定する血管の位置が心臓より低ければ低いほど,血圧は高くなる.
 普通,外来においては,患者を椅子に坐らせて,1回だけ測定し(多くの場合,右か左の一側のみ)これを標準にして診断する可能性が多分にある.もし,外来において,看護婦が測定したものであれば,診察の一番最後にもう一度,仰臥位をとらせた時に血圧を測定しておけば,立位もしくは坐位と,仰臥位の間における血圧の差を見つけることもできるはずである.とくに眩量や失神発作を起こした症歴のある患者の場合や,高血圧,糖尿病,腎臓病のある患者の場合は,初診時のみならず,再診時も,注意深く,左右の肘前動脈の血圧の差や,立位・坐位・仰臥位などの体位の変化による血圧への影響や,下肢の血圧測定も行なうべきである.

4.呼吸

著者: 日野志郎

ページ範囲:P.730 - P.733

 脈拍とは違って,呼吸はある程度意識的に変えられるものであるから,呼吸状態を観察するにはそれとなく見るがよい.外来患者では,診察室にはいってくるときの様子から判断できることがあるし,問診したり脈をみているあいだに観察するのがよい.数とリズムだけでなく,呼吸の型や性質をみてとる必要がある.
 呼吸困難(dyspnea)は息切れ(shortness ofbreath)などとも表現され,呼吸するのがむずかしいと感じ,あるいは呼吸するのに苦痛を感ずる状態だから自覚症状だとする見解があるが,意識がないため患者に訴えがなくても,努力呼吸をしているのがわかればこれも呼吸困難といえるから,自覚症状と他覚症状の両面をもっていると解釈しなければなるまい.

●身体所見のとらえ方 IV.顔と頭部

1.顔

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.736 - P.740

顔から受ける全体的印象
 顔はその人の心身を併わせての全体の健康度を示す有力な指標である.患者に接する時には,まず顔に生気があるか,表情が豊かであるか,心身の苦悶がどう現われているかに注意しながら,問診,診察をつづけ,その間,常に顔を観察する.

2.眼—A.眼科の立場から

著者: 丸尾敏夫

ページ範囲:P.741 - P.746

 内科医にとって必要な眼所見としては,一つには,全身症状を伴う眼疾患を,それと気づかず内科疾患と誤診してしまうことがないようにすること,他の一つには,全身疾患の一部としてみられる眼症状についての正しい知識をもち,その診断の助けとすることとであろう。たとえば,前者としては緑内障が,後者としては眼筋麻痺があげられる.ここでは,視診を中心とした眼症状の診断を中心に述べてみよう.

2.眼—B.神経内科の立場から

著者: 田崎義昭

ページ範囲:P.746 - P.751

 眼は臨床神経学における重要な検査対象である.ここでは紙面の都合でベッドサイドにおける簡単な所見のとらえ方について記述することにする.

3.口腔—A.内科の立場から

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.751 - P.754

はじめに
--予備知識
 (次の『咽喉』の項を参照されたい)
 日常診療でもっとも頻度の多いのは,いわゆるカゼである.ある統計によれば,カゼは外来患者の60%以上を占めるという.また,別の統計によれば,1人1年に6-7回はカゼにかかり,そのうちの2-3回は医治を求めるが,あとは売薬ですませるか,またはそのまま放置しておくという.

3.口腔—B.神経内科の立場から

著者: 田崎義昭

ページ範囲:P.754 - P.755

 口腔内の所見で神経学的に意義があるのは,舌に関するものである.周知のように舌筋は第12脳神経である舌下神経によって支配されている.したがって舌に運動障害や,萎縮があれば舌下神経障害を考える.舌についてのもう1つの所見は味覚である.舌の前2/3の味覚は顔面神経によっ,て後1/3の味覚は舌咽神経によって伝達される.

3.口腔—C.皮膚科の立場から

著者: 西山茂夫

ページ範囲:P.756 - P.757

口腔粘膜の灼熱感ないし痛み
 痛みなどの異常感覚を主訴とする場合は,粘膜の肉眼的所見の有無を第一に詳細に診る必要がある.肉眼的所見のうちでは,アフタやビランのような明らかなもののほかに,粘膜の姿縮性変化と乾燥が重要である.

4.咽喉—A.内科の立場から

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.758 - P.759

予備知識
 一般実地診療でもっとも頻度の多いのは,急性の上部気道感染症である.しかもそれは,まず第一にビールス感染症であり,ついで細菌感染症である.はじめから細菌感染症ではじまることは,あんがい少ない.たいていはビールスの感染が初めに生じ,それと同時にか,あるいは,それにやや遅れて細菌の二次感染症がオーバーラップする.ときには,ビールス感染の相はすでに消失して,細菌感染の相だけがダラダラとつづいているのを診る.

4.咽喉—B.神経内科の立場から

著者: 田崎義昭

ページ範囲:P.759 - P.760

 咽喉についての神経学的な診かたというのは,第IX,X脳神経,すなわち舌咽および迷走神経を検査することである.舌咽神経は軟口蓋,咽喉,扁桃の知覚,舌の後1/3の味覚と知覚を伝達しており,迷走神経は軟口蓋,咽頭,喉頭の運動を支配している,しかし舌咽,迷走神経の機能は臨床検査では分けることが困難なので,習慣的に一緒に扱っている.

4.咽喉—C.耳鼻科の立場から

著者: 井上鉄三

ページ範囲:P.761 - P.764

咽頭の疾患とその検査
 咽頭には,扁桃の病変がそのままの形で観察されるし,また,全身疾患の一分症として,種々の病理が現われてくる.

5.耳と鼻

著者: 井上鉄三

ページ範囲:P.764 - P.767

外耳の疾患
 外耳道と耳介をよく調べる.患者の訴える症状は,ほとんどが耳痛である。それも,脈拍と同時に起こる拍動痛である.これが,湿疹状になっておれば,勿論,かゆみが随伴する.また,腫脹,閉塞が加わると,耳閉感を訴える.

6.頭

著者: 吉井信夫

ページ範囲:P.768 - P.771

 頭部所見のとらえ方は視診,触診(計測を含む)が主である.これのみで診断を確定またはほとんど確定できることがある.もちろん,精細な頭部の所見に加えて神経学的所見,頭蓋X線検査その他を参照することは重要である.
 頭部所見は頭部全体の変化と頭部の限局性の変化に分かれる.

V.頸部

1.甲状腺,頸部リンパ節,血管

著者: 藤本吉秀

ページ範囲:P.772 - P.775

甲状腺
 甲状腺疾患の多くのものは,甲状腺が腫大するか,あるいは腫大していなくても硬くなっている.疾患の種類によって甲状腺の触診所見にそれぞれ特徴があるので,なれてくれば触診でだいたいの診断がついてしまう.たとえ確定診断はつかなくても,だいたいどういう種類の病変を与えるかの大よその見当は触診でつけ,そこで考えられる2つか3つの疾患を鑑別するために特殊な検査に進むというようにもって行きたい.

2.神経・筋・骨系

著者: 佐々木智也

ページ範囲:P.776 - P.777

 頸部は,神経学的に考えると上肢および胸部の一部を支配する末梢神経が神経叢をつくり,ついで主な神経幹を形成する場所である.筋系は頭部の運動,頸椎の運動,肩甲帯の運動および上部肋骨の運動を支える筋が存在する.骨としては頸椎があり,中に頸随,上部胸髄が保護されている.従って.頸部の神経・筋・骨は肩より上肢,上部胸郭,さらに脊髄を考えれば上・下肢と体幹に関連を有している,別の表現でいえば,これらの部位に異常がちって,頸部の正確な所見をとる必要がしばしばあるともいえる.

VI.胸部

1.外観と胸郭

著者: 高階経和

ページ範囲:P.778 - P.781

胸部の視診を行なう際の注意
 視診は,非常に簡単に行なわれてしまうか,省略されてしまう場合が大多数の患者について言えることである.日常の外来に来る患者に対して,1人1人完全に脱衣をさせて診察をすることが診察のルールであるはずである.
 視診を行なうだけで,疾患の早期症状や,肋膜癒着などによる胸郭の変形などは,一目瞭然となる.

2.乳房—乳癌の診断

著者: 太中弘

ページ範囲:P.781 - P.783

 乳房の疾患のうちで,いちばん注意しなければならないのは乳癌で,悪性疾患の代表的なものといえよう.勿論,乳癌のほかにも悪性疾患はあるが稀なのでここでは考えないことにする.そうなると,腺腫,線維腺腫,線維腫などの良性疾患と癌との鑑別が問題になってくる.

3.心臓と血管

著者: 五十嵐正男

ページ範囲:P.783 - P.796

 循環器疾患に関する限りphysical diagnosisの技術は19世紀の後半に非常に発達し,20世紀に入ってX線診断や心電図診断法が発達するにつれてややなおざりにされた感じがあったが.心臓カテーテル検査法を始めとする各種補助診断法の発達とともにphysical diagnosisに定量的な病態生理的裏づけが与えられ,その正確さが増してくるとともに.その重要性が再認識されてきつつある.
 実際上ポイントをつかんだ病歴と正確なpllysi-cal diagnosisだけで循環器疾患の90%は病変の種類や程度に関して正しい診断ができるのである.しかしこのphysical diagnosisも始めから誰もがもっている技術ではなく,すべて訓練の賜物であり,訓練次第でいくらでも正確になってゆくものである.

4.肺

著者: 光永慶吉

ページ範囲:P.797 - P.803

呼吸器病診療と胸部の理学的検査
 1)"打聴診"は呼吸器病診断の第1歩である.問診によって得られた自覚症状をもとに,対象疾患を肺にしぼって,検査を進めて行くことができる.また全身性の系統疾患ではとくに肺に変化が現われることが多く,あるいは他臓器疾患でも肺合併症は少なくない.これをとらえるもっとも手近かで容易な手段は胸部の理学的検査である.
 2)X線像と順合して病変の実像をかなり浮き彫りにすることができる.X線像はあくまで病巣の"かげえ"であって実物ではない.たとえば,聴診所見は病巣の滲出性変化,あるいは局所換気状態と符合し,X線像と組み合わせれば病勢の判断に資するところが大きい.

VII.腹部

1.内科の立場から

著者: 安部井徹

ページ範囲:P.804 - P.814

腹部の視診
 視診上の注意 長いゴムの聴診器に象徴されるように,わが国の診察態度には,患者と医師との間に常に一定の距離がある.そしてわが国の医師は,従来患者の細かな所見よりも全体から受ける漠然とした印象から疾病を洞察するという方に重点が置かれていたように感ぜられる.
 患者を診るには,一定の距離を置いて全体を把えることも大切である.しかしまた同時に患者を色々に動かして観ることも大切であり,医師もまた患者のまわりを歩き回って観察せねばならない.診る角度や光線のあて具合も工夫立なければならない.

2.外科の立場から

著者: 長洲光太郎

ページ範囲:P.814 - P.817

症状のとらえ方
 すでに第1章以下に"At a glance"の意義について諸家の記述がある.筆者も他誌にこのような標題で記述をこころみたことがある.physical ex-aminationを書くのが本項の目的であるが,それには相反する2つの要請がはたらいている.第1はat a glanceによる方向づけからみちびかれる検査診察ということであり,第2は先入主にまよわされずに,広く全身的に診察せよということである.この両者は一読してわかるとおり相反する方向を示す.それにもかかわらずわれわれは,自分というひとりの人間の中で1つの態度をとらざるをえない.かりに第1と第2とを折衷しても,それはひとりの医師として"ある態度"をとるという点では同じことである.
 元来病人は病気,病状をもって医者の前に投げだされている.いいかえると医師の判断はそのような外にあるものをpassiveに受けとめる鏡のようなものだという考えが"客観的医学"であるかのごとく誤解されている.そこでは医師は鏡にうつったpassiveな印象からさきにすすむ段階で,検査や判定の選択を行なうというのである.それが望ましいというのである.こういう考えは正しくない.

3.泌尿器科の立場から

著者: 徳江章彦 ,   和久正良

ページ範囲:P.817 - P.820

 視診,触診,打診,聴診等は,内視鏡検査法やX線診断法等の著しい進歩により軽視される傾向にあるが,泌尿器科領域での診断・治療に当たっては依然重要な検査法である.

4.産婦人科の立場から

著者: 足立春雄

ページ範囲:P.821 - P.824

 確かに近代医学の粋を集めて考案され発展してきた各種の補助診断法は,病気の診断や治療に格段の進歩をもたらしたことには何人も異論のあるはずはない.しかしながら,それらの手段にあまりにも頼りすぎるきらいがないでもない.
 妊娠初期の「悪心・嘔吐」という主訴だけを取りあげて,胃ときには腸のX線診断が行なわれ,その後の妊娠の持続に不安を抱かせ,妊娠の中絶を強く希望するまでになる患者は決して稀ではない.補助診断法はどこまでもphysical examinationの医学的な裏づけのために行なわれるべきもので,補助診断法による成績の総合的結果として診断を決定すべきではなく,どこまでも医師の主体性の下での補助診断法でなければならない.これは今日の医学教育の歪みか保険制度の欠陥に原因を求めなければならないかも知れないが,さらに日頃筆者が不安を感じていることの1つに,現在の臨床医学はほとんどが男性医学ではないだろうかという疑問がある.

VIII.腰背部

腰背部

著者: 永野柾巨

ページ範囲:P.826 - P.833

 腰背部の理学的診察は一定の順序に従った系統的な診察が,患者に与える苦痛も少なく,かつ見落としなく,正しく患者の状態をつかむうえでたいせつである.患者の訴えは,①変形または腫瘤,②疼痛や機能障害,のいずれか,あるいはその両者であるが,理学所見は,主として問診によって得られる患者の自覚症状と相まって,はじめて正確な診断への手掛かりを与えてくれるものであることを銘記すべきである.

IX.陰部とその周辺

1.男性性器とその周辺—A.泌尿器科の立場から

著者: 徳江章彦 ,   和久正良

ページ範囲:P.834 - P.837

 外陰部の診察に当たっては,患者に仰臥位をとらせる.必要に応じて切石位あるいは立位をとらせる.最切患者の全身を観察し,体格,栄養状態,皮膚皮下脂肪の状態,リンパ節の腫脹の有無等全身状態をざっと把握しておくことは、他科の診察と同様である.

1.男性性器とその周辺—B.皮膚科の立場から

著者: 西山茂夫

ページ範囲:P.838 - P.838

びらん性変化
 男性骨器の病変としては亀頭部のびらん性ないし潰瘍性変化が最も問題となる.頻度の多いものは固定薬疹であり,この場合には問診が大切であるが,とくに再発性のびらんではまず薬疹を考える必要がある.時には亀頭だけではなく,口腔粘膜,皮膚(紅斑)にも生じ、重症の場合には,いわゆる皮膚粘膜眼症候群の形を呈する.もしびらん性変化が普通の治療で4週以上治らない場合には天疱瘡の疑いが濃く,組織検査が必要となる.
 再発性のびらん性変化には陰部疱疹があるが,この場含には半米粒大くらいの円形のびらん面が重なり合って.線状ないし帯状を呈することが多い.しかし包客があれば混合感染によって広い範囲のびらん面となることがある.

2.女性性器とその周辺

著者: 足立春雄

ページ範囲:P.839 - P.842

 女性の外陰部周辺の異常は,一般医の診療で問題となることは極めて稀であると思える.重篤な症状を伴うような異常は既に新生児期に産科医によって発見され処置されている場合が多く,たとえば直腸閉鎖,前庭肛門や腔肛門,あるいは前庭直腸瘻のようなものがある.外性器の奇形も,その頃に発見されているはずであるが,時には思春期,あるいはそれ以後になって初めて訪医し発見されることもある.
 以下,一般医として留意すべき外陰部周辺の異常について述べるが,外陰部およびその周辺を詳細に診察するための目標となる場所と注意点を予め一括して表示すると表1の通りになる.これらのうちで,とくに一般医として日頃心掛けておかねばならないものについて重点的に記述したい.

3.直腸・肛門—A.直腸—外科の立場から

著者: 佐分利六郎

ページ範囲:P.843 - P.845

 直腸とは肛門内皮膚粘膜境界である直腸肛門線より内方12-15cmでS状結腸に移行するまでの部分をいうが,疾病の種類の都合上やや内方S状結腸末梢脚辺まで含めて述べることにする.
 この部は大腸の中でも疾病の多発する部位であり,排便作用に関与するので患者の苦痛も特異なものがある.またこの部の疾患では他の部位に比して中央検査室の化学的検査の役立つものが少なく,主として医師自身によるいわゆるphysicaldiagnosisが主役を演じ,これによって診断および治療方針が決定されることが多い.

3.直腸・肛門—B.肛門

著者: 隅越幸男

ページ範囲:P.847 - P.849

 肛門疾患ではその頻度からいって,痔核,痔瘻,裂肛が圧倒的に多い,これらを如何に正しく診断するかは,簡単なようで難かしい.とくに内科医は肛門部の診察を敬遠しがちであるため,早く発見して処置すべきものが遅れたり,またたいした所見のないものが依頼されてくることもある.
 まず問診でおよそ見当がつく.それは愁訴である出血,疼痛,腫脹,脱出などの組合わせによって患者をみないで80パーセント以上診断がつくものである.

X.四肢

1.内科・神経科の立場から

著者: 古和久幸

ページ範囲:P.850 - P.857

 四肢の主要な機能は運動である.これは中枢神経-末梢紳経-筋肉・関節などの総合機能であり,これらのうちのどれか1つに障害があってもスムースな運動が行なわれなくなる.非常に軽い障害の場合には日常診療でしばしば見落とされることがあるが,ちよつと工夫をすると容易に障害の存在を見出すことができる.たとえば一側の不全麻痺の患者で,粗大な四肢の運動にはなんらの異常がないようにみえても,手指を折り曲げて数をかぞえる運動を迅速に行なわせると麻痺側で下手であることが明らかになる.また,筋強剛が全く欠如していると思われるパーキンソン患者で,筋緊張度の検査に際し,患者に話しかけて注意をそらすと筋強剛が顕著になることはよく経験する.
 このように身体所見をとるには,そこにあるものをpick upするのみでなく,隠されたもの,またはあまり明らかでないものを見出す工夫も大切なことである.

2.皮膚科の立場から

著者: 西山茂夫

ページ範囲:P.858 - P.861

皮下の炎症性の結節
 一般に皮下のしこり(硬結)ないし結節は皮下脂肪組織の炎症を示す.主として下腿に多いが,上肢にもできることがある.
 急性の滲出性・浸潤性炎症は皮下脂肪組織だけではなく,真皮にも波及しやすいので,皮膚の表面に浮腫性の潮紅があり,皮下には境のあまりはっきりしない,やわらかいしこりとなる.痛みとくに圧痛が認められる(結節性紅斑).

3.整形外科の立場から

著者: 永野柾巨

ページ範囲:P.863 - P.876

 四肢を整形外科の立場から診察する場合に特に強調したいのは次の点である.
 第1に,四肢では内臓の場合と違って,とかく病歴をくわしく尋ねることが疎かにされがちであるが,病歴をできるだけ詳細にとることが理学的所見をとるための前提であることを忘れないでほしい.

●得られた身体所見から診断へ XI.呼吸器系

呼吸器系

著者: 光永慶吉

ページ範囲:P.878 - P.885

打診でわかる肺の異常とその原因
 肺境界の異常位置
 肺下界の下降 肺含気量の増大(気腫,過膨張)などによる.

XII.循環器系—症例からみた心臓病のべッドサイド診断

循環器系—症例からみた心臓病のべッドサイド診断

著者: 五十嵐正男

ページ範囲:P.886 - P.890

 ベッドサイドは臨床家にとって試練の場である.ここで彼はまったく未知の相手に挑戦され,試されるが,近代的な臨床検査法はここでは未だ利用できない.循環器疾患だけに限らず,臨床家はここではポイントをつかんだ病歴と,正確なphysical examinationでもって総てを判断してゆかねばならない.
 われわれはベッドサイドに立ったら①患者全体をよく観察し,②外から触れたり見えたりできる動脈や静脈をよく観察し.③全身の神経を手に集中して触診と打診を行ない,④最後に聴診を行ない,そしてそれら全体を総合的に判断して1っの診断にもってゆくわけである.

XIII.消化器系—疾患臓器別にみた局所所見

消化器系—疾患臓器別にみた局所所見

著者: 安部井徹

ページ範囲:P.892 - P.897

食道疾患と理学的所見
 食道疾患は,食道性嚥下困難(Esophageal dy-sphagia)のある患者に疑いをもつ.この嚥下困難は決して食物が食道を通り難いというような明瞭なものだけをさすものではない.食事は難なく通過するが,どこかに軽く当たるというような軽度の感覚や疼痛もさしている.食道疾患を疑わせるもう1つの重要な症状は胸やけ(Heart burn)である.これは胸骨裏面に感ぜられる焼けるような感じをいって.食道が胃酸によって洗われると出現するとされているが,それだけではなく、食道の運動性の変化も関係していると考えられる.
 食道疾患を疑うときには,理学的所見は全く無力である,しかしぜひ試みて欲しいのは,聴診による食道通過時間の測定で,外来でも数分で簡単に誰にでも実施でき,しかも疾患の存在診断にはかなり役立つものである.

XIV.神経系

神経系

著者: 後藤文男

ページ範囲:P.898 - P.916

 詳細な診察によって得られた身体的所見から,これらの情報をいかに処理して診断へ導びいてゆくかは,内科医として最も興味あるところであり,腕の振るいどころでもある.神経疾患の診断においては,この診断へのアプローチのプロセスが他の一般内科診断の場合と多少異なっており,神経疾患診断上最も重要な部分を形成している.
 そこで身体所見から病名診断への思考過科を一般内例診断の場合と比較しながら考えてみよう.

XV.腎・泌尿器系

腎・泌尿器系

著者: 折田義正

ページ範囲:P.918 - P.925

 腎泌尿器系異常と身体所見の関係を考えてみよう.腎のもっとも重要な役割はいうまでもなく,生体の内的環境維持にあるとされている.これが具体的にあらわれる体液各分画の増減,各組成の異常に対する訴えは,浮腫,各腫の脱水症状,渇感などとして自覚的,他覚的にとらえられるが,1つの成分の異常に対し必ず身体所見があるものではなく,他の成分の異常との関係で修飾されたり,異常の程度が強くならないとあらわれなかったり,特徴的所見に乏しいなどの欠点もある.
 しかし腎が循環系として血圧調節に働き,また最近注目される造血系に対する開与や,排泄器官から考えられる蛋白漏出,尿の通過障害の際の症状を考えると身体所見も各種のものがあり,さらに後腹膜臓器としての腎,それにつづく尿管、膀胱,尿道などをたどって行くとなかなか多彩な身体所見をみることのできるものである.以後これらを中心に解説をすすめる.なお重要な自覚的訴えも,腎泌尿器系疾患で重要な知見を提供する尿の肉眼的所見についてもつけ加えて記述した.

XVI.水・電解質代謝異常

水・電解質代謝異常

著者: 飯田喜俊

ページ範囲:P.926 - P.931

 水・電解質の代謝に異常が生じると,身体にもいろいろの症状があらわれてくる.それ故,身体の異常所見を注意深く診ることにより,ベッドサイドで水・電解質の異常ないしその程度を知ることができる.しかしながら,身体の異常自体から二次的に水・電解賞の代謝にみ異常をきたしたり,あるいは既にあった異常が更に増悪することによって.症状が一層複誰化することもある.それ故,これらについて総合的に注意深い診断を行なうべきである.

●小児の身体所見のとらえ方 XVII.発熱

発熱

著者: 今村栄一

ページ範囲:P.934 - P.939

 病気の訴えがいえないか,不正確な表現しかできない乳幼児にとって,発熱はきわめて重要な徴候である.発熱から病気を掘り下げていく場合が多い.しかし発熱から展開する病気が多いだけに,いつも新しいものを掘りおこすという構えがたいせつである.

XVIII.咳・喘鳴と呼吸困難

1.咳と喘鳴

著者: 中山喜弘

ページ範囲:P.940 - P.942

 小児科外来診療のうちで,咳と喘鳴は日常経験することの最も多い愁訴の1つである,咳や喘鳴のひどい場合は,小児の安静をさまたげ,嘔吐を誘発し,その結果栄養障害をきたす場合もあり,家人の不安を増すこととなる.わずらわしい症状の1つであるので,安易に鎮咳剤を与えてしまいがちである.
 咳のおこる機構は,気道に対する刺激が,まず気管・気管支に存在する咳受容体を刺激する.その刺激が求心性迷走神経を介して延髄の咳中枢を興奮させて咳をおこすと考えられている.元来は,異物や喀痰を外へ排除するという生理的な作用である.また,喘鳴は離れていても聴取できる雑音であって,その発生機構は気道の一部に狭窄部位があるときに生じる.

2.呼吸困難

著者: 中山喜弘

ページ範囲:P.942 - P.943

 呼吸困難とは何か,ということについては,従来2っの定義が提唱されている.その1つは自覚症状と考えるもので,呼吸が苦しいと感じることである.この定義に従うと意識のない患者には呼吸困難はみられない.
 他の1つは努力性呼吸という他覚的所見によって,呼吸困難のあるなしを判定しようとするものである.

XIX.チアノーゼと蒼白

1.チアノーゼ

著者: 草川三治

ページ範囲:P.944 - P.946

 チアノーゼとは,粘膜とか皮膚が青紫色になることをいい,これはその場所の毛細血管内を流れる血液中の還元ヘモグロビンが,5g/dl以上ある時に,外から見ればその色が出てくる.従って毛細血管の多い,或いはその色のよく見える口唇,爪床などにまず見られ,やや強ければ指趾先端部,耳介,頬,眼瞼,口腔粘膜などにも見られるし,非常に強ければ全身の皮膚にも見られる.
 血液中のヘモグロビンは健康成人男子で16g/dl,健康乳幼児で大体12g/dl位であるから.成入では1.3,乳幼児では約半分近くが還元ヘモグロビンにならないとチアノーゼは出現しない.もし貧血があって,ヘモグロビン自体が非常に減少していると,チアノーゼを起こす原因が非常に強く,よほどの酸素不足状態にならないと出現しないし,それまでに酸素不足で死亡することもありうる.換言すれば,チアノーゼの程度と生体の酸素不足の程度は必ずしも一致しない.このことはチアノーゼの観察に当たり,ぜひ知っておかねばならないことである.チアノーゼという所見をどのようにとらえ.診断に結びつげるかということが,本書の課題であるが,その前にその成因をよく理解し,次いで本論に入りたい.

2.蒼白

著者: 草川三治

ページ範囲:P.946 - P.947

 蒼白という言葉は,全身の皮膚の色に対しても用いてよいが,普通は顔色について用いる言葉である.顔の皮膚の毛細血管が収縮してその血流が少なくなっても蒼白になるし,貧血で血液の色が薄いためにも当然蒼白に見え,また皮膚が厚かったり,浮腫があって,皮膚毛細血管の色が表面まで出てこないということもその原因になる.
 顔色が悪いということは,患者を最初に見た時,一見してわかる症状であり,また〜母親はもちろん,周囲の人が誰が見ても気づくことであるから,病気の発見やその診断には非常に重要な手がかりになる.また全く心配のない場合もあれば,非常に悪性の疾患、例えば白血病のようなものの初期症状ということもあり,その診断の決定には慎重を要する.どんな疾患でも,病気となれば多少とも顔色は悪いということがあっても不思議ではないが,顔面蒼白ということが比較的特徴的な疾患をあげ,その後の診断の過程をあげてみることにする.

XX.けいれんと意識障害

1.けいれん

著者: 福山幸夫

ページ範囲:P.948 - P.951

けいれんかどうか
 けいれんは発作的なもので,一過性と言いかえてもよい.従って,けいれんそのものを,医師が直接観察する機会に恵まれるとは限らない.つまりけいれんがあったとして来院したときには,けいれんは止まっており,家人からその状況を聞き出さなければならないことが多い.
 けいれんかどうかを確認することがまず第一に重要なことであるが,直接診察ないし問診にあたって留意すべきポイントをあげてみよう.

2.意識障害

著者: 福山幸夫

ページ範囲:P.951 - P.953

 意識障害の患者をみた場合,一般的救急処置を行なうと同時に,現症を把握し,原因疾患の診断につとめる,この際注意すべきことは,次のようであろう.

XXI.口腔所見と消化器症状

1.口腔粘膜疹

著者: 加藤英夫

ページ範囲:P.954 - P.955

紅斑様粘膜疹ないし小水疱
 舌,歯肉,口腔の粘膜が全体として赤くなり(紅斑様),荒れていれば口内炎であり.口内炎は軽い時にはカタル性といい,重くなると潰瘍性,壊疽性という.点々と白い潰瘍があって痛みがある時はアフタ性口内炎である.痛みがあることは食欲を害するのでわかる.アフタ性口内炎は単純性ヘルペスウイルスherpes simplex virusでおこる.
 口蓋垂の両側に小水疱が生じ,つぶれて浅い,やや痛い潰瘍を生ずるのは夏かぜのひとつであるヘルプアンギナであって,数株のcoxsackie virusAでおこる.同様にcoxsackie virus A 16でおこる手足口病hand-foot-mouth diseaseでは口蓋だけでなく,頬粘膜,舌,歯肉にも水疱を生じ,同時に手,足,大腿,臀部にも小さい紅斑あるいは水疱を生ずる.

2.よだれ・溢乳・吐乳・嘔吐

著者: 加藤英夫

ページ範囲:P.956 - P.957

よだれ
 唾液の分泌が多い時,すなわち消化器系疾患,口内炎,胃炎がある時だけではなくて,唾液をのみ込まない時によだれが多くなる.のみ込まない時は口腔,咽頭が炎症のために痛い時と精神薄弱あるいは脳性小児麻痺がある時である.
 従って口腔,腹部の診察とともに神経系の症状として知能と眼球の動き,筋の硬さ,腱反射をはじめ諸反射を検査することが大切である.

3.下痢

著者: 加藤英夫

ページ範囲:P.957 - P.958

 下痢を見たら十中八九は乳幼児下痢症であろうとしてよいが,細菌検査を必要とする時がある,すなわち発熱があって原因がはっきりしない時,血便,膿,粘液便があって便しぶりがある時はぜひ検便し,病原菌,特に赤痢菌の有無をしらべておく.
 小児の下痢では当然全身を診ることが必要であるが,特に腹部の痛みの有無,その部位,脱水症の有無を腹部の触診で判定する.なお,下痢症では,その原因と重篤さを知ることが本当の意味の診断でもあるので,感染症の有無,先天性の異常あるいは体質傾向も観察することが必要である,これらが原因となって下痢症がおこっていることが多いし,その原因を除くことが治療の第一歩でもあるからである.

4.便秘

著者: 加藤英夫

ページ範囲:P.959 - P.960

 乳幼児の便秘は日常小児科の外来できく主な訴えのひとつであって,放置すると,それだけで発熱,嘔吐,腹痛の原因となりうる.

5.血便

著者: 加藤英夫

ページ範囲:P.960 - P.961

色と性状からわかること
 血便もまた小児では日常多く見る所見である.まず血便の色であるが黒っぽい血便である時には母親は「血便が出た」とは言わず,「黒い便が出た」という.この時は血液は鼻腔,口腔,食道,胃,十二指腸ないし小腸上部からの出血と考えてよい.黒っぽい血便であるが,中に赤いあるいは赤黒い血液を混じている時は小腸の上部以下の出血があったものとしてよい。一見して赤い血液が,そのまま出たり,便に混じたり,便の表面についている時は小腸下部ないし直腸,肛門付近から出血していると考えられる(表4).

XXII.発疹・黄疸・浮腫

1.発疹

著者: 山下文雄

ページ範囲:P.962 - P.965

 小児病診断の定石である年齢区分別に日常出逢いやすい発疹を考えてみる.
 小児の発疹をみてゆく時のもうひとつの心がけは,「この発疹が危険をもたらすものか,放置してよいものか,積極的に治療を加えなければ生体へ危険があったり,合併症を残す可能性があるのか,治療方法がある発疹か,ことばをかえれば,細菌性ないしアレルギー性のものか,ウィルス性〜正体不明のものか」ということであろう.

2.黄疸

著者: 山下文雄

ページ範囲:P.966 - P.968

 小児の黄疸は,①発症の年齢と,②黄疸(血清ビリルビン)の型(直接ビリルビンが主なものか,間接ビリルビンが主なものか),を考えながら診察をすすめてゆく(表1).
 黄疸の出現は幼児以上では,角膜の黄染で確認されるが,乳児,とくに新生児では皮膚で気づくのがふつうである.黄疸の確認は,自然光か,昼光色の螢光灯のもとで行なう.新生児では血清ビリルビンが5mg/dlを,年長児では2mg/dlを越したら黄疸として気づかれる(黄疸とまちがえられやすいものは柑皮症で,手のひら,足のうら,鼻・口唇溝に着色が強い.思春期児の鉄欠乏性貧血は萎黄病というように黄色調の皮膚となる).

3.浮腫(年齢・成因・分布・性状)

著者: 山下文雄

ページ範囲:P.968 - P.969

新生児期の浮腫
 独特の成因と特徴をもっている.新生児早期の一般状態の悪い時(呼吸困難など)に起こりやすい硬化性浮腫(scleredema)は,名のように硬くしかも"pitting edema"(指圧痕のできる浮腫)である.一般状態がよく,30日齢前後に起こる"pittingedema"は,遅発性浮腫であり未熟児に多い.以上2者がもっともよくであう新生児の浮腫といえよう.

XXIII.頭痛・腹痛・関節痛

頭痛・腹痛・関節痛

著者: 合瀬徹

ページ範囲:P.970 - P.972

診断の手掛かり
 小児が訴える各種の痛みは医師にとって非常に注意すべきもので,診断の大事なきっかけとなる場合が多い.ただし,小児が訴える痛みを診断の手がかりとする場合,医師はまず次のことを念頭において検討すべきである.
 1)この児の訴えている痛みは本当に痛んでいるのだろうか?(痛みの信憑性

Current Abstracts

給水の弗化物添加

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.704 - P.704

 Horowitzとその同僚たちは,給水の弗化物添加が有効・安全でかつ経済なムシ歯予防法なりや否やを決定するために,中央給水装置のない学校を農村地方から2校選び,これに通学している児童について研究した.この地方の自然水には,弗化物はまず皆無といってよかった.上記の2つの学校には,弗化物添加装置が設置された.
 弗化物を添加するに先立って,あらかじめ"基準"検査が実施せられた.1966年に行なわれた歯の中間検査で,研究対象となった学校に毎日通学していた学童におけるムシ歯のレベルは,給水への弗化物添加が開始された当時,それらの学校で登録された児童のムシ歯発生率よりも,かなり低かった.

L-ドパで早期治療すれば,パーキンソン病による不能は予防できる

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.714 - P.714

 パーキンソン病患者の脳底神経節は,ドパミンが著明に欠乏している.L-ドパを経口投与すると,患者の80パーセントはかなり改善するが,10〜12パーセントの患者はさほど著明な改善をみない.シカゴのノースウェスタン大学医療センターで,36歳から78歳までの男女200名以上の患者が治療をうけた.その大部分は,両側性にかなり強く侵されていたが,なかには少数ながら片側がわずかに侵されたものもあれば,車椅子またはベットから離れられず,両側からかかえられても歩行のできないものもいた.患者はすべて,パーキンソン症候群の典型的な徴候,つまり振戦,硬直,無感動症,マスク状の顔貌,連合運動の消失を示していた.
 治療に対する反応は,老人の患者より若い患者のほうがより速かでより完全であった、数名の中年患者における治療の結果は目覚しく,自宅ならびに職場でのいろいろな活動を回復することができた.L-ドパを病気の初期にもちいれば,パーキンソン病による不能を予防することができるのみならず,不能に陥った患者もまたしばしば回復して,有用な働きをすることができる.

精神病棟は解放できる

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.771 - P.771

 現在,精神病院には長期入院患者が78,000名もいるが,そのうちの大部分は,退院させて病院の外で治療したほうがよいのではないか.これは,新設の国立病院諮問機関の長であるAlex Baker博士の言葉である.そういった提案を実行するとともに,精神障害者に対してより手厚い看護を与えるには,もちろん莫大な費用を必要とするが,これも,いまから10年か15年もすれば確保できるようになる公算が大であると,博士はイーストボーンで開かれた王立保健協会でのべたのである.
 しかし,それには,国民側と医師側とが態度を変更することも,必要であると,博士はつけ加える.2年またはそれ以上精神病院に入院している長期在院患者78,000名のうち,そのほとんどは,病院の昼間医療サービス—そこで彼らは,正常な地域社会生活のあるいくつかの側面にタッチすることができるのである—において,より良い看護が受けられたのではなかったか.

内因性うつ病におけるアミノ酸代謝

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.775 - P.775

 内因性うつ病の患者18名と,コントロールの正常人9名とから,午前8時と午後8時にそれぞれ,血液を採取して,チロジンとトリプトファンの値をしらべてみた.チロジンの値はうつ病患者のほうが相当低く,トリプトファンの値は朝のほうが低かった.ただし,9名の患者では,夕方の値がコントロールの正常人のそれよりもはるかに高かったが.
 24時間尿のキヌレニン値は,すべての患者で低下していた.正常人では,朝の値のほうが夕方の値よりも高かったが,うつ病患者では夕方の値のほうが高かった.これは,チロジン・トランスアミナーゼとトリプトファン・ピロラーゼの病的な活動に由来するのではないかと思われる.以上のような研究成果を踏まえると,チロジンとトリプトファンのそれぞれの前駆物質の病的な値は,うつ病におけるノルアドレナリンとセロトニンの代謝の異常にもとつくのではなかろうか.

遺伝病の生化学的治療

著者: ,   浦田卓

ページ範囲:P.777 - P.777

 遺伝病の生化学的是正は,その基礎にある蛋白質の欠陥にもとつく.ある極の外因性物質が適切に代謝されないばあいには,食事中のその物質を制限するのである.で,もし早期に診断を下し,子宮内の時期に治療を行なうことができれば,発育中の神経系に不可逆的損傷を与えることを防止できるはずである.しかし,もし遺伝的欠陥が,内因的に生産される物質または構造蛋白質の代謝に関係していれば,食事制限を行なったとて無効である.
 フィードバックによるコントロールが損なわれているオソレのあるばあいには,合成径路を阻止する代謝物質の使用が,明らかに適応である.酵素の欠陥を直接治療するには,たとえば,安定した形または樹脂に吸収させた形で,欠けている酵素を注入してやるなり,欠陥のある遺伝子を人工変換によって置換してやるなりすればよい.こういった処置は,実験的にはすでに実施せられており,人間においても理論的には可能である。

自動車衝突と心臓

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.796 - P.796

 正面衝突の犠牲者が手押し車で救急室に運びこまれるや,医師はまず,頭部をしらべるが,これは重大な外傷が頭部にないかどうかを知るためである.つづいて,胸部をしらべるが,これは折れた肋骨が肺を穿通していることがよくあるからである.そしてさいごに四肢をよくみる.しかし心臓とそれに接している"大血管"をしらべるのは,ずっとあとのことである—それも,しらべるとしたらのことであるが.ところが,多くのばあい大動脈には,こんにちの進んだ外科なら是正できるような潜在的に致命的な損傷が存在しているのである.
 衝突事故にまきこまれた搭乗者は,重力よりも幾百倍も大きい減速力をうけることがよくある.減速が突然生じても,ガッシリした胸壁ならふつう,操縦桿のようなものにぶつからないかぎり,損傷は少しもうけない.心臓もまた同様である.しかし,人体のなかでもっとも大きい血管たる大動脈は,その大動脈弓の下部のところが,シッカリと固定されていないので,自動車が衝突して停止するさい,胸壁と心臓の前進運動は突然停止するが,大動脈のある一部は1秒の何分の1かなお前進運動をつづけるのである.

栄養教育

著者: ,   浦田卓

ページ範囲:P.849 - P.849

 アメリカでは,貧乏のせいで栄養久調にかかる人よりも栄養に関して無知と誤報のために栄養失調に陥っている人のほうが多いのである……栄養の悪い人はたいてい,食物の選択がよくない.これは,まぎれもない事実である.栄養学者が調査旅行に喜び勇んで出かけるさいには,家の前庭に自動束をおく,客間にテレビをかざる,冷蔵庫にビールを貯えるといった流行も,抜けやすい頭髪,太鼓腹,物悲しき目付きなどと同じレベルで,観察して然るべきである.だのに,これらが看過されているのはおそらく,栄養夫調の説明としては貧乏のほうが俗受けしやすいからであろう.もし万一にも貧乏が原因だとしたら,アメリカのような潤沢な社会では栄養失調の解決は容易であろう.つまり,金さえあればよいのである.しかし貧乏が主な原因でないとすれば,客種の手当てや食料切符をもってしては栄養失調もわれわれの良心も,救われることはないはずである.栄養の教育はそう容易には達成できない.貧乏こそ栄養の主原因であると唱道する人びとは,もう1つの強い訴えをする.すなわち,構成員の10パーセントを貧困状態に放置するような経済組織は悪であり,したがって打破すべきであると.かくして,栄養失調と貧乏が,政治的な武器として行使される—こういったキャンペーンのテーマソングは"飢えたるアメリカ"である.

天日網膜症

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.876 - P.876

 日光または天日網膜症solar retinopathyというのは,太陽を凝視するさいに生じる病変で,その本態は,網膜の斑状部macular areaの単純な限局性熱傷にほかならない.ふっうは恒久的な視覚的不具が生じるが,まれには,視力の減少がスネレン試験で1つまたは2つ以上の線にわたることもある.しかしながら,微少な部分的暗点が傍中心性に生じることがあり,そのため本人はときに不便を覚える.
 太陽をみるのに世間で常用せられているフィルターは,適当ではない,たとえば写真のネガ,サングラス,なにか道具でつくった日おおいの類をもちいたり,あるいは指と指を接近させてその狭い隙間から太陽をのぞくといったことをしているが,これは目に悪いのである.太陽の現象をみるには,小孔投影法,つまり小さな孔から日光を投影する方法をもちいると,安全であろう.もし太陽をどうしても直接に見なくてはならないといったような場合には,2っのゼラチン・フィルターをもちいるとよい.ただし,そのフィルターの厚さは,太陽の全放射線量の3万分の1以上を通過させないものでなければならない.

リウマチ様関節炎には就床がよいか運動がよいか

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.943 - P.943

 リウマチ様関節炎で入院している患者を治療するに当たって就床安静(ただし従来のものを少し変更した)がよいか,それとも運動がよいかを比較検討するために,コントロールをおいた研究をしてみたが,この2つの療法の結果には,みるべき差異のないことがわかった.就床療法を受けた患者22名は,毎日少なくとも22時間就床安静をしたが,他方,運動療法を受けた患者22名はできるだけ就床しないように指導した.両グループとも,サルチル酸剤と物理療法は受けた.
 両グループを隔週調べたところでは,握力,赤沈,歩行時問,罹患関節の周囲長,疼痛関節の数では改善を示したが,腫脹関節の数は減少しなかった.歩行能力または関節運動が就床安静によって損なわれるようなことはなかった.上記2種類の治療をしたあとにみられた改善は,保存療法の他の側面または本病の自然史と,あるいは関係しているのかも知れない.

ムチを惜しめば学生はスポイルされる

著者: ,   浦田卓

ページ範囲:P.947 - P.947

 アメリカの産業文明を支配し動かしている両親たちこそ,活動的な学生反乱の寄せては打ち返す運動を背後から押しすすめている主要な元兇である.彼ら学生たちは,かつては大学の活動の試金石ともいうべきものであった理性と対話を,明らかに放棄してしまっているが,これは,子どもたちをなんら拘束することなく甘かし育ててきた家庭に対して欲求不満を覚えた世代が示した,最初のそして強烈なあらわれである.アメリカの社会を再組織せんとするキャンペーンに参加した多くの人びとは,その両親のリベラルな政治的見解だけを保存し,両親の養育の他の特徴は,これを積極的に放棄して顧なかった.両親が,その幼年期や思春期の息子・娘たちとの衝突を故意に回避したからこそ,彼ら子どもたちは,家庭の生温い拘束を後にするや,極端にはしる行動に耽溺するようになったのではないか.

サイクロセリンは精神分裂を解明するカギか

著者: ,   浦田卓

ページ範囲:P.953 - P.953

 サイクロセリンcycloserineは,他の抗結核剤が失敗に帰したときですら,結核にもちいて有用な薬であるが,おしむらくは毒性が強いために,用途が制限せられてきたウラミがある.その副作用としてあげられているのは,うとうと状態,真性めまい,連発性吃音,嚥下困難,視力減退,無感覚症,知覚異常,筋間代性運動,ケイレン(大量摂取患者のほぼ10%に)などである.なおその精神病学的副作用には,記憶の変更,判断の障害,自殺の企図およびパラノイアなどがある.ある症例にみられた精神病学的反応に至っては,精神分裂のパラノイド・タイプの反応と区別がつかなかったほどである.
 サイクロセリンを大量投与するとピリドキシンが尿中へ過剰に排泄されることがわかっているので,サイクロセリンとともに大量のピリドキシンを投与すると,神経学的副作用はほとんど除去できたが,精神病学的毒性のほうはこれを予防することがほとんどできなかった.偶然のことでわれわれは,ある種の精神病を解明しうるカギを手に入れているのかも知れないが,いまのところわれわれは,まだその錠のほうを暗中模索しているところのようである.

付録

内科で使用される略語の解説

著者: 阿部正和

ページ範囲:P.973 - P.1020

 最近は略語ばやりで,その解釈に困ることがしばしばである.幸いよい辞典も刊行されているので便利になったが,ここに掲げるものは,内科雑誌medicinaに長く連載したものにさらに必要な項目を追加して一括したものである.ご参考になれば幸いである.

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

60巻13号(2023年12月発行)

特集 一般医家のための—DOAC時代の心房細動診療

60巻12号(2023年11月発行)

特集 内科医が遭遇する皮膚疾患フロントライン—「皮疹」は現場で起きている!

60巻11号(2023年10月発行)

増大号特集 患者さんの質問にどう答えますか?—言葉の意味を読み解きハートに響く返答集

60巻10号(2023年9月発行)

特集 ミミッカー症例からいかに学ぶか

60巻9号(2023年8月発行)

特集 症例から読み解く—高齢者診療ステップアップ

60巻8号(2023年7月発行)

特集 浮腫と脱水—Q&Aで学ぶジェネラリストのための体液量異常診療

60巻7号(2023年6月発行)

特集 整形外科プライマリ・ケア—内科医が知りたい整形外科疾患のすべて

60巻6号(2023年5月発行)

特集 Common diseaseの処方箋ファイル—臨床経過から学ぶ20症例

60巻5号(2023年4月発行)

特集 臨床医からみたPOCT

60巻4号(2023年4月発行)

増刊号 探求!マイナーエマージェンシー

60巻3号(2023年3月発行)

特集 令和の脳卒中ディベート10番勝負—脳卒中治療ガイドライン2021とその先を識る

60巻2号(2023年2月発行)

特集 慢性疾患診療のお悩みポイントまとめました—高血圧からヘルスメンテナンスまで

60巻1号(2023年1月発行)

特集 10年前の常識は非常識!?—イマドキ消化器診療にアップデート

59巻13号(2022年12月発行)

特集 令和の頭痛診療—プライマリ・ケア医のためのガイド

59巻12号(2022年11月発行)

特集 避けて通れない心不全診療—総合内科力・循環器力を鍛えよう!

59巻11号(2022年10月発行)

増大号特集 これからもスタンダード!—Quality Indicatorの診療への実装—生活習慣病を中心に

59巻10号(2022年9月発行)

特集 ちょっと待って,その痛み大丈夫?—“見逃してはいけない痛み”への安全なアプローチ

59巻9号(2022年8月発行)

特集 不安を自信に変える心電図トレーニング—専門医のtipsを詰め込んだ50問

59巻8号(2022年7月発行)

特集 日常診療に潜む臨床検査のピットフォールを回避せよ

59巻7号(2022年6月発行)

特集 抗菌薬の使い方—敵はコロナだけにあらず! 今こそ基本に立ち返る

59巻6号(2022年5月発行)

特集 ジェネラリストの羅針盤—医学部では教わらなかった28のクエスチョン

59巻5号(2022年4月発行)

特集 症例から学ぶ—電解質と体液量管理のベストアンサー

59巻4号(2022年4月発行)

増刊号 フィジカル大全

59巻3号(2022年3月発行)

特集 成人が必要とするワクチン—生涯を通した予防接種の重要性

59巻2号(2022年2月発行)

特集 意外と知らない? 外用薬・自己注射薬—外来診療での適“剤”適所

59巻1号(2022年1月発行)

特集 クリニカルクエスチョンで学ぶ糖尿病治療薬—糖尿病治療の新しい潮流

56巻13号(2019年12月発行)

特集 プライマリ・ケアのための—ポリファーマシー「超」整理法

56巻12号(2019年11月発行)

特集 内科医が押さえておくべき—検査の考えかたと落とし穴

56巻11号(2019年10月発行)

特集 不明熱を不明にしないために—実践から考えるケーススタディ

56巻10号(2019年9月発行)

特集 脱・「とりあえずCT」!—スマートな腹痛診療

56巻9号(2019年8月発行)

特集 みんなが知っておきたい透析診療—透析のキホンと患者の診かた

56巻8号(2019年7月発行)

特集 一歩踏み込んだ—内科エマージェンシーのトリセツ

56巻7号(2019年6月発行)

特集 抗菌薬をアップデートせよ!—耐性菌に立ち向かう! 適正化の手法から新薬の使い分けまで

56巻6号(2019年5月発行)

特集 糖尿病診療の“Q”—現場の疑問に答えます

56巻5号(2019年4月発行)

特集 しまった!日常診療のリアルから学ぶ—エラー症例問題集

56巻4号(2019年4月発行)

増刊号 一人でも慌てない!—「こんなときどうする?」の処方箋85

56巻3号(2019年3月発行)

特集 TPOで読み解く心電図

56巻2号(2019年2月発行)

特集 抗血栓療法のジレンマ—予防すべきは血栓か,出血か?

56巻1号(2019年1月発行)

特集 枠組みとケースから考える—消化器薬の選び方・使い方

55巻13号(2018年12月発行)

特集 これからの心不全診療への最新アプローチ—予防からチーム医療・先進医療まで

55巻12号(2018年11月発行)

特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

icon up
あなたは医療従事者ですか?