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文献詳細

雑誌文献

medicina8巻6号

1971年05月発行

文献概要

Current Abstracts

サイクロセリンは精神分裂を解明するカギか

著者: 浦田卓

所属機関: 1

ページ範囲:P.953 - P.953

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 サイクロセリンcycloserineは,他の抗結核剤が失敗に帰したときですら,結核にもちいて有用な薬であるが,おしむらくは毒性が強いために,用途が制限せられてきたウラミがある.その副作用としてあげられているのは,うとうと状態,真性めまい,連発性吃音,嚥下困難,視力減退,無感覚症,知覚異常,筋間代性運動,ケイレン(大量摂取患者のほぼ10%に)などである.なおその精神病学的副作用には,記憶の変更,判断の障害,自殺の企図およびパラノイアなどがある.ある症例にみられた精神病学的反応に至っては,精神分裂のパラノイド・タイプの反応と区別がつかなかったほどである.
 サイクロセリンを大量投与するとピリドキシンが尿中へ過剰に排泄されることがわかっているので,サイクロセリンとともに大量のピリドキシンを投与すると,神経学的副作用はほとんど除去できたが,精神病学的毒性のほうはこれを予防することがほとんどできなかった.偶然のことでわれわれは,ある種の精神病を解明しうるカギを手に入れているのかも知れないが,いまのところわれわれは,まだその錠のほうを暗中模索しているところのようである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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