icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina8巻7号

1971年06月発行

文献概要

特別記事・学会の話題 '71 日本医学会総会・内科関係学会から

「進歩」と「倫理」をない合わせて1本の太い綱に—開会特別講演谷川徹三氏「医学とヒューマニズム」を聞いて

著者: 砂原茂一1

所属機関: 1国療東京病院

ページ範囲:P.1125 - P.1125

文献購入ページに移動
学会のテーマに即して
 会場の入口でわたされた「反日本医学会総会」のビラによると「道学者谷川徹三氏」とあった.私は谷川氏を道学者とは思っていなかったが少々お古いとは思っていた.しかし聞き終わっての感想は開会特別講演者としての人選をあやまっていなかったということである.本学会のテーマ「医学の進歩と医の倫理」を考えるための一つの足場を提供したことは確かだし,なによりも救われたことは医学と医療についての中途半端な理解にもとづく,もっともらしい言及がなかったことである.
 ヒューマニズムはギリシャ的思想への回帰をさけんだルネッサンスの人文主義者に由来すること,人間性ということは社会と文化のそれぞれの段階で異なるとらえ方がされるから,これをposi-tiveに定義することは難かしいが,歴史のどのような段階にも人間喪失,人間疎外が必ず起こるものだからそれへのprotestとして,つまり否定態として定義することが可能であるというのがこの講演のLeitmotivであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?