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文献詳細

雑誌文献

medicina8巻9号

1971年08月発行

文献概要

臨床家の遺伝学入門・8

伴性遺伝

著者: 大倉興司1

所属機関: 1医歯大人類遺伝学

ページ範囲:P.1390 - P.1394

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伴性遺伝のしくみ
 性の決定の機構ですでに述べたように(本誌8巻3号318ページ),母親のもつ2本のX染色体は等しい確率をもって息子にも娘にも伝えられる.しかしながら父親のもつX染色体は娘にのみ伝えられ,息子に伝えられることは絶対にない.Y染色体はもちろん息子にのみ伝えられる.このことを別の表現をすれば,X染色体に関しては父と息子の間には親子関係がないということである.
 伴性遺伝(sex-linked inheritance)とは性染色体上に存在する遺伝子による遺伝という意味であるから,X染色体およびY染色体の親から子への伝わり方でそれら遺伝子の表現に特徴が現われてくる.しかし,現在のところY染色体上には特定の形質を決定する遺伝子の存在が確認されておらず,2.3それらしいとされているものはあるが,一般的に承認はされていない.このため,伴性遺伝というと,ふつうはX染色体上にある遺伝子のことを指すのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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