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ウィルヒョウの大著「病的腫瘍」
著者: 小川鼎三1
所属機関: 1順大医史学
ページ範囲:P.1424 - P.1424
文献購入ページに移動 腫瘍の病理学はRudolf Virchow(1821-1902)の「細胞病理学Cellular-pathologie(初版1858)」,ついで同人の「病的腫瘍Die krankhaften Geschwulste(第1巻1863年,第2巻1864-65年,第3巻の前半1867年)」の出現により画期的な進歩をとげた.この大著述「病的腫瘍」はウィルヒョウが1862年から翌63年にかけてベルリン大学で30回にわたり講義した内容を基にして出版されたが,第3巻の後半は遂に出版されなかった.この出版されない部分に癌の病理学が含まれていたはずであり,甚だ残念であると同時に,癌のむつかしさがその未完成の理由かともおもわれる.
表紙に掲げた図は第1巻の扉に載っているもので,本文の説明をみると47歳の女性で,病名はFibromamolluscum multiplexとある.全身の皮膚に大小種々の高まりがあり,永い年月の間にしだいに数と大きさを増した.左の腰部から垂れさがっている最大のものを手術により切りとったら,32.5ポンドの目方があったという.
表紙に掲げた図は第1巻の扉に載っているもので,本文の説明をみると47歳の女性で,病名はFibromamolluscum multiplexとある.全身の皮膚に大小種々の高まりがあり,永い年月の間にしだいに数と大きさを増した.左の腰部から垂れさがっている最大のものを手術により切りとったら,32.5ポンドの目方があったという.
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