icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina9巻1号

1972年01月発行

文献概要

症例

病因考察に役立った全身性硬化症の一症例

著者: 長田尚1 柏崎禎夫2 本間光夫3

所属機関: 1慶大内科 2北里大内科 3慶大内科

ページ範囲:P.66 - P.70

文献購入ページに移動
はじめに
 今日一般に使用されている強皮症Sclerodermaという名称をはじめて用いたのは,1847年Gin-tracであった.しかし本症の最初の記載はもっと古く,18世紀の半ばでCurzloであるといわれている.以後本症が皮膚のみならず全身の内臓臓器をも侵し,経過がしばしば進行性であることがだんだん明らかにされるようになり,1945年Goetzは本症を全身性進行性硬化症"Progressive syste-mic sclerosis"と呼ぶことを提唱した.しかし,最近の英語でかかれた文献では,むしろ,冷身性硬化症"systemic sclerosis"という名称のはうが,多く用いられる傾向にある.
 このように,名称においても,本症はかなりの変遷があり,いまだ統一されていない,まして病因に関しては,感染,中毒,内分泌異常,自律神経異常,自己免疫説など諸説紛紛で,いずれも定説になっているものはない.さらに,本症における皮膚硬化,末節骨吸収像など,綱々の症状の病態にいたっては,他の膠原病にくらべ,不明な点が多く,解明の努力もあまりはらわれていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?