icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

medicina9巻10号

1972年09月発行

雑誌目次

Editorial

不整脈に関する最近の知見

著者: 佐野豊美

ページ範囲:P.1839 - P.1839

 従来不整脈といえばアカデミックな興味の対象としか考えられない傾向があったが,この数年来急に心臓病学の主流のひとつとして重視されるに至った.その理由の第1は急性心筋硬塞に対するC.C.U.の経験から,死因の最も重要なものであることがわかり,種類を正確に診断して的確な治療を即座に行なうことが最も有効な対策であるとわかったからである.第2の理由は不整脈学の最近の急速な進歩である.殊にその発生機構と治療の面に画期的な進歩が見られているといってよかろう.
 不整脈の発生機構は微小電極法の登場以来飛躍的に解明された.従来心電図の所見より推定されていた諸説が細胞内に電極を挿入するこの方法により直接に立証されたり,否定されたりした.殊に心筋の正常自動能の電気現象は本法を俟って始めて真に解明されてきたといってよかろう.

今月の主題

不整脈—診断のすすめ方

著者: 岸本道太

ページ範囲:P.1840 - P.1848

 現在,心電図は不整脈の診断に不可欠であり,100%確実な診断を得る武器である.しかし,何らかの事情で心電計が身近にないときに,一般症状の観察,触診,聴診等によって,目前の不整脈を大ざっぱに診断し,事後の的確な処置を判断する技術も,第一線の医師にとって大切である.今月の主題は,そうした基本的なフィジカルイグザミネーションをも含めた,不整脈診断のすすめ方について.

Leading Article

生体とリズム

著者: 佐々木隆

ページ範囲:P.1830 - P.1831

リズムとサイクル
 生体があらわす周期的現象には,脳波・呼吸のような秒程度の周期のものから,睡眠と覚醒のような日単位のもの,卵巣周期のような月単位,あるいは季節に対する適応現象のような年の桁のものなど広範囲にわたり,またその現象の発現の場も,細胞や器官のレベルから一個の独立した生物体,あるいはこのような個体の社会的集団にいたるまで多岐多様である.また対象となる周期的現象をみるにあたっては,2つの立場が考えられる.すなわち1つは反復生起現象の量的変化に着目するもので,いわゆるrhythmはこれにあたる.これに対して量的または質的な状態の変化を生起の順序との関連のもとにみる場合には,cardiaccycle, ovarian cycleというような用語から感じとられるように,輪廻という色彩が濃厚である.この観点がさらに強調されると,TCA cycleのように,反復ということよりも,むしろその順序の方に重点がうつることになる.
 生体があらわす各種のリズムがすべて共通な同一の機構によって発現しているわけではないが,リズム一般の生成機序を理解する第一歩として,現在もっとも究明が進んでいる24時間リズムについて述べることにする.

カラーグラフ

目でみる刺激伝導系の病理

著者: 岡田了三

ページ範囲:P.1836 - P.1837

症例1
 症例1は生前より診断された先天性房室ブロックを持つ,共通戻室口を伴う部分的大血管転位症である.心電図は完全房室ブロックと左房性Pを示した.洞結節は左右心房に対称的に存在しやや小型であった.房室結節(AVn)は後方に偏位し(A),His束はその中枢端で完全に途絶(B)していた.途絶部より末梢は再び集合してHis束(His)をつくり(C),左脚後放線(LBBp),同前放線(LBBa)をほぼ正常に分岐したのち,共通房室口の下縁に沿って大きく迂回した長い右脚(RBB)を形成していた.この途絶部位は房室結節とHis束が発生学的に別々に生じて,のちに連結するといわれている部位よりやや末梢である.

診断のポイント

不整脈と基礎疾患

著者: 真柴裕人 ,   片山亀夫

ページ範囲:P.1861 - P.1867

「不整脈」とは
 心電図学上の不整脈という用語は心臓における興奮の発生とその伝導の異常を示す状態に対して総括的に用いられている,最近の不整脈研究に関する基礎的(形態学的・生理学的・薬理学的)知見と,臨床上の診断・治療の領域での進歩は不整脈学と名づけられるほどの集積・体系となっている.しかし,不整脈という用語そのものは適切ではない.arrhythmiaの日本語訳であれば,無調律ないし調律異常(dysrhythmia)とすべきであろう.不整脈を字義通りに解釈すれば,脈拍不整の状態を示すこととなる.したがって,最近では不整脈という用語に代わって心拍不整という用語がしばしば用いられる.この場合も字義通りに解釈すれば心臓の拍動の不整ということになる,心電図学上で調律異常ないし興奮の発生・伝導の異常の状態であっても,たとえばA-V接合部調律,WPW症候群,脚ブロックの時のように心拍は一見整となっているものもある.また,心臓の調律は異常であっても脈拍は整となっている場合として,A-Vブロック,ブロックを伴う頻拍症のようなものを挙げることができる,さらに,心臓の調律異常があり,拍動も不整となり,脈拍も不整となっているような状態,細動・粗動,多発性期外収縮などもある.ここでは本来の意味通り,不整脈とは心臓における興奮の発生,伝導の異常をすべて示すとして扱う。
 不整脈と基礎疾患との関連を考察する場合には,不整脈の発生機序と発生要因とを検討し,そのような状態をきたす疾患がすべて基礎疾患としての可能性をもつものとして考慮されねばならないが,臨床的には不整脈をきたすような基礎疾患に関する理解と,不整脈から推測・診断を進めてゆく基礎疾患に対する知識とが必要となってくる.

不整脈の聴診—どこまでわかるか

著者: 太田怜

ページ範囲:P.1868 - P.1871

はじめに
 不整脈の診断には,心電図の判読が決定的で,理学的検査の入る余地はほとんどないように思われる.しかし,不整脈は,もともと,脈拍の不整ということから名付けられたもので,その診断の手がかりは,脈拍の触診からはじめられたものであろう.最近では,どちらかというと,脈拍の触診はおろそかにされることが多く,われわれが心拍の異常に気づくのは,たいてい聴診時である.心音の乱れが不整脈で,心音の乱れをきいたならば,心電図をとり,不整脈の種類を決めるという段取りになるのであろうが,聴診の段階でも,不整脈の種類を,ある程度推測することができる,また,ある種の不整脈では,聴診の不可欠な場合もある.そこで,不整脈の代表的なものについて,その聴診上の特徴を,以下に述べてみることとする.

治療のポイント

電気的治療を要する不整脈

著者: 岩喬

ページ範囲:P.1872 - P.1876

はじめに
 現在臨床的に使用される電気による不整脈の治療としては,直流通電と心臓電気刺激がある.
 適応に関しては,一般に治療を必要とする不整脈に対して,まず内科的薬剤を試み,それらの効果のないとき,不十分のとき,あるいは著しく不便なとき,などに電気治療が行なわれるのが通常である.しかし治療する医師の知識,経験,および環境に従って,その適用が著しく相違する.しかし,わが国における適用頻度は,欧米に比して異常に少ないのは事実である.一般に電気的治療法は,容易,確実,かつ即効的であり,その経験のあるものが,しだいにこの療法に傾くのは当然の傾向といえよう.事実この電気的療法が,種々の不整脈治療のfirst choiceになりつつあるのである.

抗不整脈剤の使い方

著者: 橋場邦武

ページ範囲:P.1877 - P.1880

不整脈治療の根幹はやはり薬物
 直流電気ショックや人工ペースメーカーによる治療法の確立は,不整脈治療の分野における最近の最も際立った進歩である,それに比べるとやや地味ではあるが,抗不整脈剤の領域でも多くの進歩がみられている.不整脈の治療は,既に生じている不整脈そのものを消失させることと,それを予防することから成っており,この両面を通じて今日でも薬物による治療が不整脈治療の根幹であることには変わりがない.少しでも特徴のある優れた薬剤の出現は望ましいことであり,また,医師はそれについて学ぶ義務のあることは確かであるが,他面,長所も短所もよく知って確実に使いこなせるいくつかの薬剤を,あまり数多くなくとも持っていることも臨床家としては必要であろうと思う.
 以下,筆者自身が日常行なっている不整脈治療の観点を加えて抗不整脈剤について述べることとする.抗不整脈剤の薬理については本号の中に別に企画されているので本稿では省略する(本文90ページ「臨床家の薬理学」参照).

専門医に聞く・7

頻脈,徐脈発作をくりかえす症例

著者: 原岡昭一 ,   真島三郎

ページ範囲:P.1881 - P.1886

症例 54歳 女
 主訴 心悸充進
 現病歴 十数年前より時どき心悸充進の発作があったが,放置していた.

グラフ

不整脈のためのME機器

著者: 桜井靖久 ,   藤正巌

ページ範囲:P.1887 - P.1892

 心不全のうち,心拍出力の低下を伴うpower failureに対しては,まだ決定的な治療法がなく,補助循環や人工心臓の開発が望まれているが,いわゆるelectrical failureといわれる不整脈に対してはME機器はきわめて有用である.不整脈を,とくに緊急的に治療するためには患者と医療者とが,on-lineの閉じたループをつくっていなければならない(図1).不整脈治療は,不整脈の検出・監視からはじまるのである.

全身性疾患と心電図

不整脈心電図分析のための作図法

著者: 土肥豊

ページ範囲:P.1894 - P.1896

"分析図"とはなにか
 不整脈について記された文献には,よく心電図とならんで,何本かの横線とそれらを結ぶ縦または斜の線によってつくられた幾何学的な図形が示されている.この図がここにこれから述べようとするいわゆる分析図とよばれるものである.ただ,はじめに
おことわりしておきたいことは,これらの図はあくまでその著者がその心電図をどのように解釈したかということを,読者に対してわかりやすく説明するための手段として用いているのであって,かりに別の人が全く別の観点から同じ心電図を解釈したとすれば,全く異なった分析図ができ上がる可能性もあり,したがって分析図を書けば不整脈がたちどころにわかってしまうといったような魔術的手法でもなんでもない,ということをまず知っていただきたいと思う.
 それなら分析図なるものは単に説明のための一手段だけにすぎないのかというと,百パーセントそうであるとも言いかねる.なぜなら実際に複雑な不整脈を分析しようとする時に,ただ心電図をにらんでいるだけよりも,分析図を書きながら考えてゆくほうが考えをまとめやすいこともたしかで,それはちょうど暗算と筆算との違いのようなものである.以下,実例について作図法のあらましを紹介することにしよう.

症例

脳動脈瘤と解離性大動脈瘤を伴った大動脈炎症候群の一剖検例

著者: 新津和良 ,   秋元英良 ,   能勢徹 ,   折津愈 ,   佐藤文明 ,   増沢紀男 ,   吉水信裕 ,   村田貞吉 ,   松村義男 ,   照山卓爾 ,   田中昇 ,   松井泰夫 ,   直江史郎

ページ範囲:P.1898 - P.1902

 いわゆる脈なし病は,大動脈炎症候群の一型と考えられており,東洋人の若い女性に多く,日常臨床でもしばしば遭遇する病気であることは周知のところである.しかし以前いわれていたよりは予後良好のため,生前本症と診断され剖検されている症例は意外に少なく,予後ならびに死因については心不全が多いという以外1)に,まだ明確でない面がある.筆者らは,脳動脈瘤の破裂に基づく脳底部出血によって死亡した26歳の大動脈炎症候群例を剖検したところ,陳旧性解離性大動脈瘤を伴っていた興味ある症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

疫学

先天性心疾患と不整脈

著者: 高尾篤良

ページ範囲:P.1904 - P.1907

 先天性心疾患(CHD)は生きて生まれた出生児1000について5-10人の割で出現している.その死亡と罹病は新生児〜乳児〜幼児期に高い.自然死亡と自然治癒,無発症例もあって,成人一老人期には少なくなる.従って,CHDは新生児期から老人期にわたり,病態上,種々の問題を提起する.不整脈もその1つである.
 先天性心臓病学という範囲内だけでも,不整脈の出現とCHDの病態上の相関は密接であり,CHDの臨床上の立場から不整脈をながめてみるのも大いに意義がある.

救急診療

心筋硬塞急性期の不整脈

著者: 新谷博一

ページ範囲:P.1908 - P.1909

 心筋硬塞急性期の死亡率はきわめて高く,しかもその死亡の大部分が発作後早期におこり,欧米の報告では死亡の過半数は発作直後の1-2時間という病院入院前に起きているといわれている.これらの死亡の直接原因ははっきりわからないが,約50%は不整脈によるとされている.病院入院後における急性心筋硬塞の死因についても,CCU開設以前の成績では不整脈死が約50%,心不全やショックなどのポンプ失調死が約40%,その他(心破裂・塞栓など)約10%といわれており,急性期における死因として不整脈,すなわち心室細動・心室停止などが最も多い.したがって心電図を持続監視し,心室細動や心室停止を除去する装置を用意して処置をすれば,硬塞の死亡率を減少させることができるだろうと考えて始められたのがCCU(coronary care unit)である.

新しい検査技術

リポ蛋白の電気泳動分析

著者: 桜林郁之介

ページ範囲:P.1910 - P.1912

リポ蛋白の分析と電気泳動法の開発
 近年,脂質代謝の研究が盛んに行なわれるようになって,日常臨床検査レベルにおいても,血清脂質の測定を行なって高脂血症をきたす各種疾患の診断ならびに治療に直接役立てることができるようになった.血清脂質の測定に関しては,直接血清から脂質を分離して測定する方法と,血清中で蛋白と結合した,いわゆるリポ蛋白として測定する方法と,大きく2つに分けられる.いずれの方法にもそれぞれ特徴があり,両者を併用して行なうのが望ましい.
 従来,リポ蛋白の分析には超遠心分析法が用いられてきたが,近年,電気泳動法によるリポ蛋白分画法が開発せられ,超遠心法に比較し簡便でしかも短時間で行なえて,超遠心法との相関性があることなどから日常検査として使用されるようになった.電気泳動法によるリポ蛋白分画法は,1963年Leesらが緩衝液中にアルブミンを添加しβとPreβ分画の分離を可能にした,いわゆる改良濾紙電気泳動法を開発して以来,にわかに注目されるようになった.しかもこの方法を用いて,Fredricksonらが本態性高脂血症およびその類似疾患の多数例について適切な分類を行なうに至り,その重要性はさらに高まった.しかし,この改良濾紙電気泳動法は各分画の分離が不十分であり,かつパターン認識によるものであるため定量的判定が困難である.現在では濾紙に代わる支持体として,アガロース,セルロースアセテート膜,ポリアクリルアミド,寒天などが用いられており,これらの欠点を補うべく研究されている.

小児診療

母子保健

著者: 窪田英夫

ページ範囲:P.1914 - P.1915

 母子保健関係の福祉制度は,年々拡充され,特にここ2-3年の間にいくつかの新しい制度が生まれている.しかし,その内容が比較的医療機関に知られていない面があり,また制度が煩雑なために敬遠されているむきもある.ここでは,それらの制度を簡略化して示し,利用の便に供したいと考える.

臨床家の薬理学・9

Ⅸ.不整脈治療剤

著者: 今井昭一

ページ範囲:P.1916 - P.1917

不整脈の発症要因
 心筋に対し抑制的に作用する薬物はいろいろあるが,そのうち,心筋の興奮性ないし自動興奮性を抑え,不応期を延長する性質をもっものは,不整脈の治療薬として利用されている.治療の対象となるのは心房性頻拍,粗動,細動および心室性の期外収縮,頻拍である.これらの不整脈のうち,粗動や細動についてはそれがきわめて複雑な形の不整脈であるため,その発生機序を説明する学説が種々現われている.その代表がSir Thomas Lewisの提唱した興奮旋回説(circus movement theory)と,Prinzmetalらの提唱になる異所性興奮源説(ectopicfocus theory)とである.
 興奮旋回説では,興奮が一定の輪形経路をまわって出発点の細胞をもう一度興奮させるので,反復興奮が起こるとされる.Lewis(1921)は,興奮旋回の場として上大静脈と下大静脈との開口部の周囲の輪状の心房組織を考えている.同じ興奮が出発点の細胞をもう一度興奮させるためには,出発点の細胞が不応期から回復していることが必要である.したがって不応期の短縮があれば興奮の旋回が起こりやすい.また興奮の伝導がおそくなれば,興奮が出発点にもどってきた時に出発点の細胞が不応期から回復している可能性が大となるから,興奮伝導速度の低下も興奮の旋回を起こしやすくする要因である.

細胞学入門・3

IV.細胞形質(つづき)

著者: 山元寅男

ページ範囲:P.1938 - P.1942

a.細胞小器官
(1)細胞膜または形質膜
 ii.細胞外被(cell coat)または糖皮(glycocalyx)(図1,2,3):植物細胞を光学顕微鏡で観察すると,細胞の外周に密接するセルローズの壁構造を認める.動物細胞でも,たとえば,卵細胞や骨格筋線維などでは類似の構造を認めるが,大部分の細胞では観察できない,このことが,かつて,植物細胞には細胞膜が存在するが,動物細胞にはないといわれたゆえんである.しかし,動物細胞にもその外周に糖タンパクの壁構造が存在するが,細胞により,また細胞の部位により,その発達の程度が異なっており,一般に厚さが薄く,植物細胞の場合ほど密質でないために,光学顕微鏡でとらえることが困難である.
 さて,この動物細胞の外周にある構造は,フコース,マンノース,ガラクトース,グルコースアミン,ガラクトースアミン,シアル酸などを含む酸性多糖類とタンパクの複合体からできている.したがって,糖からなる細胞被層ということで,Bennettはこれに糖皮(glycocalyx)と名づけた.

medicina CPC

浮腫,呼吸困難,血尿に前胸部痛が加わって死亡した症例

著者: 田村忠雄 ,   片村永樹 ,   水田亘 ,   池田碩二 ,   本田裕宏 ,   木島滋二

ページ範囲:P.1919 - P.1926

症例 M. O. 60歳 男
 入院 昭和46年7月14日
 死亡 昭和46年7月29日

私の治療方針

心臓神経症患者—その考え方・扱い方

著者: 石川中 ,   森杉昌彦

ページ範囲:P.1928 - P.1936

 心症状を訴えてくる患者の中には,心臓神経症が意外に多い.その場合,心臓神経症だからということで軽く片づけられてはいないだろうか.心臓神経症を心症状を前景とするノイローゼとみるとき,その扱い方には細心の注意が必要である.

オスラー博士の生涯・2

生い立ち—1849-1864まで

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.1944 - P.1947

 ウイリアム・オスラー(Wi11iam Osler)は,1849年7月12日にカナダの一寒村ボンド・ヘッド(Bond Head)で生まれた.9人兄弟の中の8番目であったが,末の妹が幼い時になくなったので,彼は末っ子として両親から特に可愛がられて成長した.

洋書紹介

—Edited by Arber, W. et al—「Current Topics in Microbiology and Immunity 57」

著者: 柴田昭

ページ範囲:P.1902 - P.1902

亜急性硬化性汎脳炎,遅延型過敏症など
 表題の領域は近年驚くべきスピードで進歩しており,これに追随することは容易なことではない,その意味で,シリーズの形をとり,up-to-dateの知識を盛り込んだ本書の如きはまことに便利なものといわねばならない.
 内容は5編から成り,亜急性硬化性汎脳炎SSPE(Ter Meulenら),細菌におけるDNAの複製(Gross, J),遅延型過敏症の定量的アプローチ(Ruddle, N. H.),Virulenceの生化学と遺伝学(Brubaker, R. R.)およびHostGenotypeと抗体産生(Řihova-Škárováら)が収録されている.

—Edited by Nicholas P. Christy—「The Human Adrenal Cortex」

著者: 市川陽一

ページ範囲:P.1907 - P.1907

副腎皮質のすべてを網羅
 副腎皮質に関する研究は,臨床内分泌学,生理学,生化学,分子生物学,病理学の各分野において急速な進歩をとげつつある.Nicholas P. Christyの編集した本書は,各専門分野の権威によって,これら最新の業績を,ヒトにおける副腎皮質のはたす役割を明らかにしつつ,集約している.
 17章よりなり,最初の4章は副腎皮質ホルモンの合成分泌,体内代謝の生化学及び生理にあてられている,G. W. Liddleは分泌の制御機構について,A. A. Sandbergはステロイドホルモンと血清蛋白との結合,R. E. Petersonは,合成および体内代謝について述べている.

病理夜話

解剖

著者: 金子仁

ページ範囲:P.1943 - P.1943

 病理解剖は病死屍体を解剖して,病気の本態の究明や,病変の拡がりを検索するためにあり,剖検ともいう.
 一般に屍体を解剖できるのは屍体解剖資格を有する医師か,医大の病理,法医,解剖の教授または助教授で,他の医師が解剖する場合は保健所の許可が必要である.

ある地方医の手紙・4

不足する「ツ」(3)

著者: 穴澤咊光

ページ範囲:P.1848 - P.1849

(前回より続く)
 W先生.
 山村から出てきた消化管出血のお婆さん,入院後ただちに補液と止血剤の投与をうけ,血圧も少し上昇し,入院時冷たかった手足も暖くなりました.だが,こんなことはあくまでも姑息手段,私と親戚の婦人とに促されて街に息子と娘たちを捜しに出た婆さんの一人娘が,供血者をつれて戻ってくるのを首を長くして待っていたのです.

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

60巻13号(2023年12月発行)

特集 一般医家のための—DOAC時代の心房細動診療

60巻12号(2023年11月発行)

特集 内科医が遭遇する皮膚疾患フロントライン—「皮疹」は現場で起きている!

60巻11号(2023年10月発行)

増大号特集 患者さんの質問にどう答えますか?—言葉の意味を読み解きハートに響く返答集

60巻10号(2023年9月発行)

特集 ミミッカー症例からいかに学ぶか

60巻9号(2023年8月発行)

特集 症例から読み解く—高齢者診療ステップアップ

60巻8号(2023年7月発行)

特集 浮腫と脱水—Q&Aで学ぶジェネラリストのための体液量異常診療

60巻7号(2023年6月発行)

特集 整形外科プライマリ・ケア—内科医が知りたい整形外科疾患のすべて

60巻6号(2023年5月発行)

特集 Common diseaseの処方箋ファイル—臨床経過から学ぶ20症例

60巻5号(2023年4月発行)

特集 臨床医からみたPOCT

60巻4号(2023年4月発行)

増刊号 探求!マイナーエマージェンシー

60巻3号(2023年3月発行)

特集 令和の脳卒中ディベート10番勝負—脳卒中治療ガイドライン2021とその先を識る

60巻2号(2023年2月発行)

特集 慢性疾患診療のお悩みポイントまとめました—高血圧からヘルスメンテナンスまで

60巻1号(2023年1月発行)

特集 10年前の常識は非常識!?—イマドキ消化器診療にアップデート

59巻13号(2022年12月発行)

特集 令和の頭痛診療—プライマリ・ケア医のためのガイド

59巻12号(2022年11月発行)

特集 避けて通れない心不全診療—総合内科力・循環器力を鍛えよう!

59巻11号(2022年10月発行)

増大号特集 これからもスタンダード!—Quality Indicatorの診療への実装—生活習慣病を中心に

59巻10号(2022年9月発行)

特集 ちょっと待って,その痛み大丈夫?—“見逃してはいけない痛み”への安全なアプローチ

59巻9号(2022年8月発行)

特集 不安を自信に変える心電図トレーニング—専門医のtipsを詰め込んだ50問

59巻8号(2022年7月発行)

特集 日常診療に潜む臨床検査のピットフォールを回避せよ

59巻7号(2022年6月発行)

特集 抗菌薬の使い方—敵はコロナだけにあらず! 今こそ基本に立ち返る

59巻6号(2022年5月発行)

特集 ジェネラリストの羅針盤—医学部では教わらなかった28のクエスチョン

59巻5号(2022年4月発行)

特集 症例から学ぶ—電解質と体液量管理のベストアンサー

59巻4号(2022年4月発行)

増刊号 フィジカル大全

59巻3号(2022年3月発行)

特集 成人が必要とするワクチン—生涯を通した予防接種の重要性

59巻2号(2022年2月発行)

特集 意外と知らない? 外用薬・自己注射薬—外来診療での適“剤”適所

59巻1号(2022年1月発行)

特集 クリニカルクエスチョンで学ぶ糖尿病治療薬—糖尿病治療の新しい潮流

56巻13号(2019年12月発行)

特集 プライマリ・ケアのための—ポリファーマシー「超」整理法

56巻12号(2019年11月発行)

特集 内科医が押さえておくべき—検査の考えかたと落とし穴

56巻11号(2019年10月発行)

特集 不明熱を不明にしないために—実践から考えるケーススタディ

56巻10号(2019年9月発行)

特集 脱・「とりあえずCT」!—スマートな腹痛診療

56巻9号(2019年8月発行)

特集 みんなが知っておきたい透析診療—透析のキホンと患者の診かた

56巻8号(2019年7月発行)

特集 一歩踏み込んだ—内科エマージェンシーのトリセツ

56巻7号(2019年6月発行)

特集 抗菌薬をアップデートせよ!—耐性菌に立ち向かう! 適正化の手法から新薬の使い分けまで

56巻6号(2019年5月発行)

特集 糖尿病診療の“Q”—現場の疑問に答えます

56巻5号(2019年4月発行)

特集 しまった!日常診療のリアルから学ぶ—エラー症例問題集

56巻4号(2019年4月発行)

増刊号 一人でも慌てない!—「こんなときどうする?」の処方箋85

56巻3号(2019年3月発行)

特集 TPOで読み解く心電図

56巻2号(2019年2月発行)

特集 抗血栓療法のジレンマ—予防すべきは血栓か,出血か?

56巻1号(2019年1月発行)

特集 枠組みとケースから考える—消化器薬の選び方・使い方

55巻13号(2018年12月発行)

特集 これからの心不全診療への最新アプローチ—予防からチーム医療・先進医療まで

55巻12号(2018年11月発行)

特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

icon up
あなたは医療従事者ですか?