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雑誌目次

雑誌文献

medicina9巻11号

1972年10月発行

雑誌目次

Editorial

糖尿病—今後の問題点

著者: 阿部正和

ページ範囲:P.1967 - P.1967

 糖尿病を正しく診断し,適切に治療するためには,糖尿病とはいったいいかなる病気であり,いかなる特質を有しているかの理解が必要である.それと同時に糖尿病の真の病因を解明することも研究の上では絶対に必要な条件といえる.
 糖尿病の病因解明にはインスリンをめぐるすべてのことを明らかにしなければならない.中でも膵ラ氏島におけるプロインスリンからインスリンへの転化,ラ氏島からのインスリン分泌の機序,インスリンが分泌されてから宿命的に最初に通過しなければならない肝臓でのインスリンの作用,また,肝臓自身のインスリンへの働きかけ,さらにインスリンの作用などが興味ある研究課題となろう.これらの中で,ここ数年の間に中心的な課題となってきたのは,インスリンの標的組織の細胞膜に存在するインスリン・レセプターの問題である.現在,すでに盛んに研究されてはいるが,これが明らかになると,糖尿病とは,このインスリン・レセプターの形成に欠陥のある病態ということになる可能性もある.また,レセプターがあるとしてもインスリンとの結合が円滑に営めない状態といえる日がくるかもしれない.

今月の主題

糖尿病患者の管理

著者: 堀内光

ページ範囲:P.1968 - P.1973

 糖尿病外来で取り扱っている患者の中には,既に失明状態でありながら通院をつづけているものが数名いる.このような患者の治療歴をふりかえってみると,いずれも糖尿病に関する正しい知識を有せず,糖尿病性網膜症の病名も知らないうちに視力障害をきたしている.糖尿病は治療を要する段階より前からなるべく早期に管理を始め,代謝調整良好の状態を継続すべきものである.管理の実際に当ってはいかに患者を指導してゆくかが医師の苦心するところである.

〈対談〉糖尿病の理解と診断の進歩

著者: 葛谷信貞 ,   小坂樹徳

ページ範囲:P.1974 - P.1981

 糖尿病は人類にとってポピュラーで,しかも重要な病気として存在している.早期に発見して早期治療にもってゆくための努力が当然出てくる.その結果,軽い糖尿病でも早くつぶさに拾い上げようということが裏目に出て,糖尿病でないものにまで糖尿病のレッテルを貼ってしまうことはなかっただろうか.この反省の中から糖尿病とは何か,という糖尿病概念への問いかけが生まれる.

Leading Article

自殺について

著者: 大原健士郎

ページ範囲:P.1958 - P.1959

自殺との出会い
 私と「自殺」との出会いは,もう10数年も前にさかのぼる.当時,インターン生であった私は,友人のすすめで,鎌倉のある救急指定病院に当直医として勤務した.昼間は大学に通い,夜はその病院に住み込んで,連夜当直をしたので,いろいろな患者に遭遇した.交通事故でかつぎ込まれてくる患者,胃けいれんで苦しむ患者,出産予定日が狂って急に産気づいた妊婦……今から考えても冷汗ものの毎日だったが,夢多い青春時代には,かけがえのない貴重な臨床体験であった.なかでも,自殺未遂患者は圧倒的に多かった.日によっては,一晩に2,3入の未遂者が運び込まれてきた.私は,彼らに胃洗浄をし,補液をし,警察や家族に連絡をとり……懸命になって彼らを実社会に送り帰す努力を続けた.彼らの多くは睡眠剤による自殺企図であったが,それにもいろいろなタイプがあった.覚醒後,再び自殺を企てようとするものや,「助けてくれ!」と叫ぶもの,看護婦を撲りつけて「なぜ助けたんだ.余計なことをするな」とくってかかるもの,何日間も全くしゃべらず,黙否権を行使するもの,自殺を誇らしげに語るもの,夜逃げをするものなど,全くさまざまであった.
 患者をとりまく家族の態度もいろいろであった.はるばる北海道からかけつけるもの,何日も家族がやってこないもの,患者に会うなり,「はた迷惑だ.今度死ぬ時は人目のないところでやれ!」と呶鳴りつける父親,最初は手をとり合って泣いていた母と娘が,10分後にはケタケタと笑い出す例など,対人関係の複雑さをあますところなく見せつけられたものである.

カラーグラフ

糖尿病の腎生検像

著者: 廣瀬賢次

ページ範囲:P.1964 - P.1965

 糖尿病の経過中には種々の腎疾患が出現し得るが,このうちもっとも普遍的なのは血管病変によるものである.この腎血管病変は動脈,細動脈および毛細管に対応して,病理組織上それぞれ動脈硬化,細動脈硬化と糸球体硬化に大別される.
 腎生検標本ではこれらの所見のうち,動脈のそれは十分観察しにくいのでこれを除くと糖尿病患者120例中細動脈硬化は83.3%,糸球体硬化では結節性病変が21.7%,びまん性病変は77.5%,滲出性病変は6.7%の頻度で認められた.

診断のポイント

インスリン定量の意味づけ—特に糖尿病患者における血中インスリン動態の特徴とその臨床的意義について

著者: 羽倉稜子

ページ範囲:P.1982 - P.1987

はじめに
 血液中のインスリンは,他の多量の血漿蛋白と混じってごく微量に存在するにすぎず,その測定には種々の困難な問題が存在するが,1960年YalowとBersonによって結晶インスリンの免疫学的測定法が開発され,その後,同法の進歩によって,現在では血中免疫反応性インスリン(IRI)の測定は比較的容易かつ正確に行ないうるようになった.この結果として糖尿病患者の血中IRIの動態に関する知識は急速に集積し,糖尿病の診断,治療に大いなる貢献がなされつつある.
 最近本邦においても,ヒトの血中インスリン動態に関して数多くの報告がなされたが,本年度(昭和47年)の糖尿病学会総会においては,グルコース負荷後の血中インスリン上昇量の血糖上昇量に対する比(ΔIRI/ΔBS)に関心が寄せられ,これを糖尿病診断へ応用しようとする試みが多くみられた.その多くは,この比は糖尿病と非糖尿病の識別にかなり有用であるとし,今後糖尿病の臨床に応用されるであろう可能性を示唆した.

腎性糖尿

著者: 後藤由夫

ページ範囲:P.1988 - P.1992

腎性糖尿の概念の変遷
 DiabetesはJ. P. Frankによってdiabetes mellitus(verus)とdiabetes insipidus(spurius)とに分類され,多尿を伴わない糖尿に対してはdiabetes decipiensの名が付された.19世紀に入り血糖の存在が確認され,その測定法が改良されるにつれて,糖尿病患者の血糖の動態も次第に明らかになった.その結果としてLépine(1895)は血糖の上昇を伴わない糖尿のあることに気付き,これをdiabéte aglycémiqueと呼んだ.つづいてKlemperer(1896)も同様な観察を行ないdiabetes renalisと呼び,その後,このような症例は予後が良好であることなどからdiabetes innocens(Salomon),diabetes innocuus(Rosenfeld)などと呼ばれるようになった.
 当時の血糖測定はBang法の出現以前のものであり,かなり大量の検体を要し,また精度の点でも劣るものであった.尿糖測定法も同様であり,現在のglucose-oxidase法に較べると感度は悪く,したがってある程度以上重症の糖尿病のみが糖尿病と診断され,現在われわれが境界例としているものはもちろんのこと,軽症糖尿病として扱っているものの多くは非糖尿病と診断されたものと考えられる.また1920年代においても糖尿病の化学的診断基準値はなかったのであるから,糖尿病症状がなく,血糖の上昇の軽度のもので尿糖陽性の症例は腎性糖尿として扱われた可能性も考えられる.事実Klempererの症例はDiabetes innocensといえるものではなかったといわれている.

治療のポイント

糖尿病患者が昏睡に陥ったとき

著者: 平田幸正

ページ範囲:P.1993 - P.1996

 糖尿病患者に起こる昏睡,とくにその代表である糖尿病性ケトアシドーシスおよび低血糖では一刻も早く診断を確定し,一刻も早く治療を開始することが必要である.これらの治療は臨床家としてもっとも実りの多い経験の1つであるといわれる.治療を開始するに当って,まず鑑別診断を的確に行なう必要がある.

経口糖尿病剤の使い方

著者: 馬場茂明

ページ範囲:P.1997 - P.2001

 糖尿病治療における経口性糖尿剤の出現は,インスリン治療と共に多くの福音をもたらしたことも事実である.過去十数年以上を経て,今なお新しい誘導体が作られ,その適応を探求している状態である.その余りにも有効なために,インスリンの代用品として考える医家まで出てきたことは,注意せねばならないことである.すなわち,余命の延長,死因への影響など,薬物療法にあたっての共通の注意を怠ってはならない.いかに副作用が少なく,有効であっても考えねばならないことであろう.すなわち,それぞれの薬剤の使い方ということに帰結しよう.本稿もその意味で使い方を中心に記載したが,若干私見にかたよったことに御許しをえたい.

専門医に聞く・8

症例1 肥満と肝障害/症例2 眼が悪化したとき/症例3 腎不全に陥ったとき

著者: 松木駿 ,   福田雅俊 ,   繁田幸男

ページ範囲:P.2002 - P.2008

 症例 43歳 女(入院昭和47年3月28日)
 主訴 息切れ,肥満.
 生来健康で,22-23歳までの体重は47kgであったが,25歳で結婚後急速に肥満し,30歳の頃62kgとなった.昭和42年春(38歳)から歩行時に動悸,息切れがあり,過労すると顔,下肢に浮腫が出現する様になったので近医を受診,肝機能障害を指摘された.その後も体重は増加し,息切れ等が続くために,昭和47年1月某院受診,紹介されて3月28日当科に入院した.

症例

高浸透圧性非ケトン血性糖尿病昏睡

著者: 塩路隆治

ページ範囲:P.2009 - P.2013

 ケトーシスを示さない糖尿病昏睡患者の存在は,古くからの記載に認められていたところである.しかしこのような糖尿病昏睡例とケトアシドーシス例との間に,臨床像の差異が問題視されるようになったのは,1957年,Sament and Schwartz1)の報告以後のことである.ケトーシスを示さない糖尿病昏睡例は,一般に著明な高浸透圧血を伴っている.最近,一般の糖尿病性ケトアシドーシスにおいても,昏睡の原因として,高浸透圧血が重視されるようになったことは興味深いことである.
 本誌編集部の依頼により,本文では以前に簡単に紹介した一症例3)を中心として,解説を試みた.

著明な起立性低血圧を合併した糖尿病の1症例

著者: 前納宏章 ,   池田義雄 ,   阿部正和

ページ範囲:P.2015 - P.2018

 糖尿病に起立性低血圧の合併することは,Rundles(1945)1)によりはじめて報告された.この起立性低血圧は,糖尿病性神経障害による一つの徴候と考えられているが,その病態生理については,今なお充分に解明されているとはいえない.ここでは,私達が経験した箸明な起立性低血圧を伴った糖尿病の一症例について報告する.

グラフ

糖尿病の螢光眼底所見

著者: 林正雄 ,   高取悦子

ページ範囲:P.2020 - P.2024

 正中静脈より注入したフルオレスセイン溶液は,8-12秒を経過した後,内頸動脈,眼動脈を経て眼底の網膜中心動脈に出現する.この際,励起フィルターを通った照明光源によって血柱より螢光を発生させ,この螢光が網膜血管より消失するまでの経過を,濾過フィルターを通して連続的にフィルムにうつしとるのが螢光眼底撮影法である.1961年にNovotnyおよびAlvisがこの方法を発表して以来,その普及,応用はめざましいものがあり,とくに,本法が網膜毛細血管床の病態の把握に有効な検索法であることから,糖尿病患者の眼底検査には今日必要不可欠の検査となってきている.本法によれば.網膜症の初期病変の一つである毛細血管瘤の出現を早期にかつ幅広く確実に捕えることができるばかりでなく,検眼鏡的には観察不能な所見である毛細血管の閉塞や螢光色素の血管外漏出なども確認することができる.
 ここでは,糖尿病性網膜症および糖尿病者の眼底における螢光造影所見を図によって解説する.

全身性疾患と心電図

糖尿病と心電図

著者: 近藤瑞香

ページ範囲:P.2025 - P.2027

はじめに
 糖尿病の血管障害としては,その特有な細小動脈病変としての網膜症,腎症とともに心血管系の動脈硬化性病変が注目され,これに関して多くの報告がある.東京女子医大小坂内科において,糖尿病死亡例99例のうち心血管系障害による死亡は50%であり1),糖尿病の予後を決定する重要な因子であることがわかる.

疫学

糖尿病発症と年齢

著者: 村地悌二

ページ範囲:P.2032 - P.2034

 糖尿病発症の年齢的分布を考察するに当たっては,予め検討しなければならない重要な問題がある.その1つは,いかなる例を糖尿病として扱うかという診断基準であり,他の1つは,そうした糖尿病患者について偏らない対象を得るための調査方法である.

新しい検査技術

血糖簡易測定法—Dextrostixの使い方

著者: 茂手木皓喜

ページ範囲:P.2036 - P.2038

 最近簡易試薬の普及がめざましいが,この中で最もすぐれたものの1つはDextrostixである.これは血糖の特異的な測定法であるglucose-oxidase法を簡易化したもので,採血後1分で血糖値が概測できるというユニークなものである.しかし血糖値が低いか,正常か,高いかの判定しかできず,緊急時やスクリーニング以外の適用はできなかった.また肉眼的判定であるため主観的な差もあり,判定に誤差を生じることもあった.最近reHectance meterが開発され,従来の肉眼的判定が光学的に行なわれるようになり,10-1000mgの範囲で測定でき,本法の有用性が一段と増した.
 ここにDextrostixの正しい使い方と,その判定法(肉眼的およびreflectance meterによる)を紹介する.

救急診療

服毒者—毒物の見分け方と処置

著者: 牛尾耕一

ページ範囲:P.2040 - P.2042

わが国の中毒死と患者数
 服毒の動機には誤嚥,自殺企図および第3者の加害の3者がある.急性中毒死数と大まかな起因毒物の分類は厚生省資料から知ることができる.表1は「昭和45年人口動態統計1)」から関係項目を集めたものである.コールドパーマの臭素酸塩誤嚥による死亡は「その他の固体および液体」の項に含まれているであろう.
 実際の起因物質は多岐にわたっているが,厚生省資料は死因統計であって全患者数や起因毒物の全貌は知り得ない.欧米先進国では1950年代から,中進国ではこれから遅れて始められ,すでに72ヵ国では中毒対策Poison Control Programが進められており,国際的連合も活動している.したがって年間の上記の実体は容易に把握できるようになっている.たとえば,米国では1968年,全国のPoison Control Centersに通報された中毒症例は10万5178件2),フランスでは1969年の要治療の急性中毒は5万件3)という。この面では未開発段階のわが国ではつかみようがないが,死亡5311例に平均致命率を5%として積算すると,治療対象の中毒例は年間約10万件と推定されよう.

小児診療

子どもの体型の移り変わり

著者: 巷野悟郎

ページ範囲:P.2044 - P.2045

 近年小児の体位は著しく向上した.このことは出生時から認められていて,過去20年間に出生体重は約0.1kg,身長は約0.5cm増加している.さらに1歳児では体重が約1kg・身長約2cm,7歳児では体重約2kg・身長約5cmの増加である.そして青年の身長がしばしば親の身長を上回っている姿を街中に見る時勢である.
 このように身長や体重からみた体位が向上した理由は,栄養摂取や生活様式などの変化が関係していると考えられているが,なお明らかでない点も多い.

臨床家の薬理学・10

Ⅹ.副腎皮質ホルモン

著者: 今井昭一

ページ範囲:P.2028 - P.2029

 ステロイド化合物である副腎皮質ホルモン剤は,その抗炎症作用のために,医薬品としてもっとも広く川いられているものの1つであるが,ホルモンそのものとして補充療法的に使われることはまれである.

細胞学入門・4

IV.細胞形質(つづき)

著者: 山元寅男

ページ範囲:P.2066 - P.2070

a.細胞小器官
 (3)小胞体endoplasmic reticulum電子顕微鏡が漸く実用化の段階にはいった1945年,Porterらが培養線維芽細胞の伸展標本を電子顕微鏡ではじめて観察した際,光学顕微鏡ではほとんど無構造に見える細胞質の硝子質部に,一種のレース様の網工を呈する構造物があることを発見した.この構造は細胞質の内形質(endoplasm)(細胞質を細胞辺縁部の外形質ectoplasmと,それにより囲まれた内側部を内形質endoplasmとよび,後者の部にミトコンドリアなど光学顕微鏡レベルの小器官や封入体が存在する)に存在していることが観察されたために,彼らはこの構造をendoplasmic reticulumと命名した.
 一方,光学顕微鏡による研究で,細胞質を塩基性色素で染色するとよく染まる部分があることが知られており,このよく染まる物質は好塩基性物質(basophilic substances)とよばれ,好塩基性物質の集合する細胞質はergastoplasm(Garnier,1887)とよばれていた.その後,BrachetやCasperssonらの細胞化学的,紫外線顕微鏡的研究により,好塩基性物質の存在する部にリボ核酸が豊富に存在することが明らかにされ,タンパク合成がこれらの物質で行なわれることを示した.Porterはendoplasmic reticulumがこのような細胞質部に一致して出現することから,Claudeにより細胞の磨砕液を超遠心分離して得られた細胞分画に存在する高濃度リボ核酸をもつ粒子(大きさ約70mμ),すなわち,ミクロゾームに一致するものであることを報告している.

私の治療方針

糖尿病の保険診療

著者: 山田辰一 ,   守屋美喜雄 ,   古平義郎

ページ範囲:P.2048 - P.2056

 重常診療という観点からみると,糖尿病はさまざまな意味で,やっかいな病気のようだ.とくに「保険診療」というきわめて現実的な視点を通してみると,その性格はいよいよ明らかになってくる.たとえば検査はどの範囲に,いかなる頻度で可能なのか--診断・治療上の原則をふまえつつ,整理していただいた.

medicina CPC

めまい,上腹部痛,黄疸で始まり,急速にショックに陥った例

著者: 藤森一平 ,   日野志郎 ,   島田馨 ,   鈴木秀郎

ページ範囲:P.2057 - P.2065

症例 T. T. 32歳,女(未婚)
 家族歴 特記すべきことなし.
 既往歴 小学校1年時,頸部リンパ節腫脹あり,リンパ節結核を疑われた.1年前,貧血を指摘され鉄剤の内服治療をうけたことがある.

インタビュー

みてきた中国の医療

著者: 岡本途也

ページ範囲:P.2072 - P.2077

 近くて遠い国,中国との距離が,日毎に縮小されつつあるかにみえる.種々の分野における交流も盛んに行なわれはじめたようだ.5月26日から1か月間,難聴児の親 鍼灸師を含めた医療関係者による視察団が中国をみてきた.参加団員の一人である岡本先生に,専門家の眼に映った中国の医療事情をお聞きした.

病理夜話

腎(その1)

著者: 金子仁

ページ範囲:P.2071 - P.2071

 私たち病理医が交通事故とか,自殺とかの変死体を解剖することはまずない.すべて警察医または監察医務院の医師が行なうのである.しかし稀に,監察医務院の許可を得て私たちが行なうこともある.
 今から4,5年前の話である.

ある地方医の手紙・5

何でも食うわい,どうせ死ぐだもの

著者: 穴澤咊光

ページ範囲:P.2078 - P.2079

 W先生.
 私が一番憂うつになるのは,外来で,経口糖尿病薬などではコントロール不能の,老耄した老人の糖尿病の患者をみるときです.彼らにいったいどうやって糖尿病の食事療法というものを説明してよいかわからないからです.とくに郡部から来た爺様婆様になると,交通信号の意味さえわからないような人さえいるほどで,こういう人々にカロリーの,糖質の,低血糖の,といってもわかるはずがないのです.

診療相談室

尿蛋白陰性なら腎疾患は除外できるか?

著者: 白井洸

ページ範囲:P.2081 - P.2082

質問
1)検尿で蛋自陰性なら腎疾患は除外できるか? 特に中年の女性で下腿に浮腫を認めるような場合.
2)尿蛋白陰性であれば,尿沈渣は正常すなわち異常なしとしてよいか.従って沈渣は尿蛋白陰性なら,しなくてよい,といい得るか?(松原市 T生)

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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