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インスリン定量の意味づけ—特に糖尿病患者における血中インスリン動態の特徴とその臨床的意義について
著者: 羽倉稜子1
所属機関: 1朝日生命成人病研究所
ページ範囲:P.1982 - P.1987
文献購入ページに移動はじめに
血液中のインスリン*は,他の多量の血漿蛋白と混じってごく微量に存在するにすぎず,その測定には種々の困難な問題が存在するが,1960年YalowとBersonによって結晶インスリンの免疫学的測定法が開発され,その後,同法の進歩によって,現在では血中免疫反応性インスリン(IRI)の測定は比較的容易かつ正確に行ないうるようになった.この結果として糖尿病患者の血中IRIの動態に関する知識は急速に集積し,糖尿病の診断,治療に大いなる貢献がなされつつある.
最近本邦においても,ヒトの血中インスリン動態に関して数多くの報告がなされたが,本年度(昭和47年)の糖尿病学会総会においては,グルコース負荷後の血中インスリン上昇量の血糖上昇量に対する比(ΔIRI/ΔBS)に関心が寄せられ,これを糖尿病診断へ応用しようとする試みが多くみられた.その多くは,この比は糖尿病と非糖尿病の識別にかなり有用であるとし,今後糖尿病の臨床に応用されるであろう可能性を示唆した.
血液中のインスリン*は,他の多量の血漿蛋白と混じってごく微量に存在するにすぎず,その測定には種々の困難な問題が存在するが,1960年YalowとBersonによって結晶インスリンの免疫学的測定法が開発され,その後,同法の進歩によって,現在では血中免疫反応性インスリン(IRI)の測定は比較的容易かつ正確に行ないうるようになった.この結果として糖尿病患者の血中IRIの動態に関する知識は急速に集積し,糖尿病の診断,治療に大いなる貢献がなされつつある.
最近本邦においても,ヒトの血中インスリン動態に関して数多くの報告がなされたが,本年度(昭和47年)の糖尿病学会総会においては,グルコース負荷後の血中インスリン上昇量の血糖上昇量に対する比(ΔIRI/ΔBS)に関心が寄せられ,これを糖尿病診断へ応用しようとする試みが多くみられた.その多くは,この比は糖尿病と非糖尿病の識別にかなり有用であるとし,今後糖尿病の臨床に応用されるであろう可能性を示唆した.
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