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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻11号

1972年10月発行

文献概要

細胞学入門・4

IV.細胞形質(つづき)

著者: 山元寅男1

所属機関: 1九大・解剖学

ページ範囲:P.2066 - P.2070

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a.細胞小器官
 (3)小胞体endoplasmic reticulum電子顕微鏡が漸く実用化の段階にはいった1945年,Porterらが培養線維芽細胞の伸展標本を電子顕微鏡ではじめて観察した際,光学顕微鏡ではほとんど無構造に見える細胞質の硝子質部に,一種のレース様の網工を呈する構造物があることを発見した.この構造は細胞質の内形質(endoplasm)(細胞質を細胞辺縁部の外形質ectoplasmと,それにより囲まれた内側部を内形質endoplasmとよび,後者の部にミトコンドリアなど光学顕微鏡レベルの小器官や封入体が存在する)に存在していることが観察されたために,彼らはこの構造をendoplasmic reticulumと命名した.
 一方,光学顕微鏡による研究で,細胞質を塩基性色素で染色するとよく染まる部分があることが知られており,このよく染まる物質は好塩基性物質(basophilic substances)とよばれ,好塩基性物質の集合する細胞質はergastoplasm(Garnier,1887)とよばれていた.その後,BrachetやCasperssonらの細胞化学的,紫外線顕微鏡的研究により,好塩基性物質の存在する部にリボ核酸が豊富に存在することが明らかにされ,タンパク合成がこれらの物質で行なわれることを示した.Porterはendoplasmic reticulumがこのような細胞質部に一致して出現することから,Claudeにより細胞の磨砕液を超遠心分離して得られた細胞分画に存在する高濃度リボ核酸をもつ粒子(大きさ約70mμ),すなわち,ミクロゾームに一致するものであることを報告している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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