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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻12号

1972年11月発行

文献概要

全身性疾患と心電図

肺気腫の心電図

著者: 石見善一1

所属機関: 1虎の門病院循環器科

ページ範囲:P.2144 - P.2146

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心電図に肺気腫が与える影響
 肺気腫は種々の因子を介して心電図に影響を与えるが,その第1は肺の含気量の増大,およびそれによる心臓の相対的な位置の変化によるものである.たとえば立位心,心尖の後方への移動,心臓の時針方向回転,低電位差などである.第2には肺気腫による肺血管床の変化のために肺血管抵抗の増大,ひいては右室肥大が起こることによるものである.これは心電図上右房あるいは右室肥大所見としてあらわれる、またさらに右室肥大は心臓の位置変化を増強させることにもなる.
 しかし一般的にいって,肺疾患による右室肥大に対する心電図の診断的価値はあまり高くないとされている.これは肺疾患が多くは成人後に発病するため,右室肥大がかなり強くならない限り,左室優位の成人心電図に影響を及ぼし難いためである.ことに肺気腫自体では高度の右室肥大は起こりがたい.このため心電図に右室肥大所見があれば,右室肥大の存在は確実であるが,逆に所見がない場合には,右室肥大を否定する材料とはなり得ない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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