icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina9巻12号

1972年11月発行

文献概要

随想

近代衛生学の開祖Max von Pettenkofer(1818-1901)への日本人門下生からの手紙

著者: 北博正1

所属機関: 1東医歯大・衛生学

ページ範囲:P.2156 - P.2156

文献購入ページに移動
 鷗外の独逸日記の明治19年(1886)3月8日の項に"ペッテンコーフェル余を其作業室に延く.廣面大耳の白頭翁なり,幣衣を纏ひて書籍を堆積したる机の畔に座す.余ロオトの翰を呈し,来由を陳ず.ペッテンコーフェルの曰く,緒方正規久く余が許にあり.余これを愛すること甚し.子も亦正規の如くならんことを望む"とあり,ここで衛生学を学び,帰国後も"別天師"に傾倒し,師がコレラ生菌を飲んだ自家実験を紹介したり,孫に師に因んで真章と命名したりした上,ドイツ語に堪能でしかも筆まめであった彼が,たびたび師に便りしたであろうことは想像に難くない.
 Pettenkofer関係の手紙が,Munchen爆撃の際にも大部分助かったということをきいていたので,昨1971年この地の国際生理学会に出席の際,Bayern国立図書館の手書き文書および古文書部門で探したところ,緒方正規関係13通,中浜東一郎関係10通を発見したが,鷗外のものはなくがっかりした(あるいは未整理なのかも知れない).ところが緒方のファイルから面白いものをみつけたので紹介する,即ち1892年(明治25年),Pettenkoferが学位を受けて50年の祝辞で,門下4名の連名である(右写真).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?