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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻13号

1972年12月発行

文献概要

診断のポイント

ホルモンと低Na血症

著者: 吉田尚1

所属機関: 1自治医大・内科

ページ範囲:P.2258 - P.2261

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低Na血症を示す疾患・状態は
 健康な人の血清Na濃度は135-150mEq/lであって,比較的狭い範囲に保たれている.これは腎より水およびNaの排泄がこれらの摂取量に対応して増減する調節機構が働いているからである.ホルモン,特にアルドステロンと抗利尿ホルモンはこの調節機構の重要な一環をなしている.したがって,これらのホルモンの分泌に異常をきたした時には,その重要な症状の1つとして低Na血症が出現する場合がある.しかし低Na血症のすべてがこれらのホルモン異常によるものではないことはもちろんであって,内分泌腺の機能異常がなくても,腎そのものの異常や,あるいはホルモンが調節しうる能力の限界以上の外的要因,たとえば下痢,嘔吐などによる著しいNaの喪失があれば低Na血症となる.
 図1は低Na血症を示すことがある疾患あるいは状態を分類したもので,低Na血症をみた時にはこれとすぐに特殊な内分泌異常にむすびつけるより前に,この図1にあげられた腎その他の要因について検討しなくてはならない.しかし,このように1つの疾患の症状として低Na血症をみるのではなく,水電解質代謝からみて各種疾患にみられる低Na血症の成因を追究すると,内分泌疾患以外の疾患にみられる低Na血症においてもホルモン,特に抗利尿ホルモンADHの役割は重要である.この点については「ADH分泌異常症」の項でくわしくのべることとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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