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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻2号

1972年02月発行

文献概要

Editorial

神経病のトピックス

著者: 加瀬正夫1

所属機関: 1関東逓信病院

ページ範囲:P.161 - P.161

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 かつて医学の暗黒野として,特にわが国ではきわめて限られた人びとの関心しか得られなかった神経学の領域において,近年の進歩発展はまことにめざましいものがある.とくに公害病の先駆的役割をはたす宿命をになった水俣病やスモンが,わが国の神経学者を中心とした多くの研究者の手によって解決されつつあることは,国辱的な疾患であるとはいえ,神経学を含めたわが国の医学水準のレベルを示すものといえよう.思いもかけないことがおこりえて,思いがけない不幸とはかりしれない労苦の集積が一応の決着をつけたのであるが,私たちの周辺にはあまりにもこのような不安が多すぎる.何がおこるかわからないという疑惑を,心ならずも絶えず抱かせられている昨今である.
 さて神経病の近年における最大のトピックスの1つは,パーキンソン病におけるL-ドパ療法の発見であった.これはおそらく神経学の歴史において空前の出来事であり,これを契機として治療法の限られた各種神経疾患の真の治療法の発見がのぞまれる.すべて新しい薬剤はその出現の当初において過大に評価され,ついで反動として過小評価され,最後に本来あるべき評価におちつくのが普通であるが,L-ドパはその種々なる副作用にもかかわらず,薬効がそれを上回るがゆえに評価のゆるぎがみられない.けれども同時に,副作用を少なくして効果を高める努力がつづけられ,種々なるエコノマイザーがあらわれてきた.その真の評価は今後において決定されよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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