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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻3号

1972年03月発行

文献概要

Leading Article

医学における膜透過性

著者: 中垣正幸1

所属機関: 1京大薬学

ページ範囲:P.288 - P.289

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膜透過性と生命維持
 生体膜の透過性は生命の維持に重要な役割を演じている.生命現象ははなはだ複雑であって,最近の生物科学の急速な発展にもかかわらず生命の本質はまだ明らかにされたとはいいがたい.このような生命現象の複雑さは,1つには生体の各種の機能が,分化と統合の上に成り立っていることによる.すなわち1つの生体は多くの部分に細かく区切られており,各部分がそれぞれ独自の機能を発揮して生命を維持しているのであって,このような分化は生体膜によって実現されているのである.しかしながら,これらの各部分は互いに全く独立ではなく,各部分が互いに連携を保ち,それらの機能の統合の上に立って1つの生命が維持されているのであって,この連携は膜透過によって行なわれているのである,したがって生体膜の透過性を明らかにすることは生命現象を理解する上できわめて重要である。また膜透過性に変調をきたせばこれが病気の原因となり,薬物によって膜透過性を変化させ得れば薬理作用が発現される.たとえばインシュリンは細胞膜に作用してグルコース透過性を増大させ,細胞内へのグルコースの移行を促し,グリコーゲンの合成を促進するといわれている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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