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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻4号

1972年04月発行

文献概要

Leading Article

生体の情報処理機構

著者: 桑原万寿太郎1

所属機関: 1九大理学部・生物学

ページ範囲:P.430 - P.431

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動物個体間の情報伝達
 「動物の言葉」などとよくいわれる.昆虫などから哺乳類に至るまで,同一種内の個体間でいろいろの情報伝達が行なわれる.同一種の個体が集団を作り,いわゆる動物の社会という有機的な連りをもっていく事実はきわめて広くみられる.そのようなことが成立するためには個体間の情報伝達手段が絶対不可欠である.高崎山などでニホンザルの群の研究が行なわれた結果知られたところでは,三十何種かのボキャブラリーがある.ミツバチの働き蜂は,蜜源をみつけ,十分これを吸って巣に戻ると,垂直にたれ下がっている巣面上で一種のダンスを踊り,その踊りに刺激されて踊り手に追従する仲間個体に餌の方向と距離を伝達する.踊りの速さが餌の距離を示し,踊りの直線部が垂直な巣面上で,重力方向となす角度は,巣の出入口でみる太陽の方向と餌の方向との角度に一致し,巣の垂直面上での重力の方向を,巣の出入口でみる太陽の方向に読みかえると,踊りの直線部の方向はまさに餌の方向を示している.踊り手に追従する仲間働き蜂はこの暗号をみごとに解読し,やがて正しく仲間が発見して来た蜜源に向かって飛ぶのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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