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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻5号

1972年05月発行

文献概要

治療のポイント

下剤の功罪

著者: 名尾良憲1

所属機関: 1東女医大・消化器病センター

ページ範囲:P.614 - P.617

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はじめに
 下剤Catharticsは排便を促進する薬物で,Katharsisとはギリシャ語にてpurification(浄化)を意味する.下剤は古くから好んで用いられてきた薬剤で,その理由の1つには,便秘が人体に有害な作用を示すという一種の迷信的な考え方がその根底にあったのである.ところが便秘そのものによって腸内の有毒物が吸収されて有害に働くということは,肝性昏睡をおこすような重篤な肝疾患以外には考えられないし,また根拠もないので,このような意味における下剤の使用は,現在では行なわれない.
 常習便秘のうちで,弛緩性便秘は,かなり多いものだが,排便は1日1回あるべきだという考え方が,広く大衆に根づよく行きわたっているので,1日でも排便がないと,心配のために精神的不安を招き,その結果として頭痛,めまい,食欲不振などをひきおこし,下剤を服用することになる.また患者が便秘を訴えて来院すると,簡単に下剤を投与する医師も少なくない.このような下剤の乱用が習慣性を招き.ついには下剤なしでは排便がないような状態に追いこまれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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