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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻5号

1972年05月発行

文献概要

治療のポイント

止痢剤の使い方

著者: 大貫寿衛1

所属機関: 1済生会中央病院内科

ページ範囲:P.618 - P.621

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はじめに
 止痢剤は元来対症療法薬であって,たとえそれが過食などによる単純な下痢にたいして用いられる場合でも原因療法となるものではない.だからその適応を一般的に言えば,下痢が長く続いたり,あるいは下痢が非常に激しかったりしたときということになるが,感染性の下痢,ことにその初期には止痢剤投与はむしろ好ましくないし,潰瘍性大腸炎などの激しい炎症が存在する場合も効果は期待できない.しかし単純な下痢や過敏大腸症候群にみられる情緒性下痢では,下痢をとめること自体が害になることはないし,また止痢剤による治療の効果も期待できるので,下痢が長く続くとか激しいということとは別により適応と考えてよい.
 膵性下痢や胃性下痢も長く続くものであるが,これには止痢剤より原因的な治療が必要であるし,吸収不良症候群や盲管症候群でも同じことが言える.糖尿病者にみられる下痢は合併症としての末梢神経障害によるものとされており,いったん下痢が始まると糖尿病のコントロールをよくするだけではなかなかとれない.この場合も止痢剤による改善はあまり期待できないが,バセドウ病にみられる下痢は甲状腺機能が改善されれば治まってくるのがふつうである.
 そういうことからここでは,単純な下痢や過敏大腸症候群などのように,非特異性下痢に対する止痢剤の投与についてのべることとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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