症例
Isospora belliおよびGiardia lambliaの同時寄生により続発性吸収不良症候群をきたした一症例
著者:
増田正典1
細田四郎1
阿部達生1
加嶋敬1
荻野賢二1
三沢信一1
山口希1
小笠原孟史1
北村収1
竹田晴彦1
衣笠勝彦1
岩破康博1
吉田幸雄2
松野喜六2
島田信男3
水谷昭夫4
永田富雄5
所属機関:
1京府医大第3内科
2京府医大医動物学教室
3京府医大中検病理部
4京府医大中検細菌部
5岸和田市民病院内科
ページ範囲:P.674 - P.678
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Isospora belliおよびGiardia lambliaの同時寄生により続発性吸収不良症候群を来たした1症例を報告する.症例は58歳男子,5年前より米のとぎ汁様の水様便と体重減少,腹部膨満などの続発性吸収不良症候群の症状を呈し,昭和45年11月入院.諸検査により吸収不良症候群と診断した.二核リンパ球や異型リンパ球を含むリンパ球増多を認め,リンパ組織異常増殖に続発した吸収不良症候群を疑った.糞便,生検小腸粘膜組織および胆汁中にGiardia lambhaおよびIsospora belliを証明し,前者にQuinacrine,後者にSulfisomezoleが有効で,治療効果よりIsosporaが下痢の主因であった。IgA減少から原虫症発症を促進し,腸粘膜損傷により続発性吸収不良症候群を発来するとともにIgA産生の低下を来たし,これはさらに原虫症発症の持続に連なる悪循環を形成したものと考えられる.