icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina9巻6号

1972年06月発行

文献概要

Leading Aiticle

基礎医学と臨床医学

著者: 塚田裕三1

所属機関: 1慶大生理学

ページ範囲:P.716 - P.717

文献購入ページに移動
 最近の大学医学部や医科大学は臨床医の養成機関としての性格がとみに強まった.それには卒後の臨床研修までを大学病院がしょい込んでいる現状とも関連しているのであろう.この反面基礎医学に対する関心は極度にうすれ,これを志す卒業生もめっきり減って慶応では昭和46年度より零.東大でも昭和47年度は零になると報じられている.このような現象は修業後の経済的な背景が臨床と基礎とで余りにも大きなへだたりがあることが大きな理由であろうが大学院制度や専門医制度に影響されている点も見逃がすことはできない.
 この対策として数年来基礎医学振興策が各方面で論ぜられたが実効はほとんど上っておらず,医学の将来にとって重大事となっている.基礎医学の衰退は基礎医学そのものよりも臨床医学の将来に与える影響がより重大であることが懸念される.基礎医学振興を叫ばねばならないのは基礎医学者よりも医療にたずさわっている臨床医家の方でなければならないのだと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら