文献詳細
文献概要
特集 これだけは知っておきたい診断のポイント I.循環器系 1.心臓病の自覚的症状
動悸—機序・問診・鑑別の要点
著者: 石見善一1
所属機関: 1虎の門病院循環器科
ページ範囲:P.854 - P.857
文献購入ページに移動動悸を正当に評価するには
健康人であると病人であるとを問わず,心拍動を意識する場合は数限りなく,したがって動悸を主訴として来院する者もきわめて多い.一般的にいって動悸はそれぞれの個人に心臓の存在を意識させる端緒となり,もし頻回に動悸を感ずれば,それはおのずと心臓の病気を連想させ,さらには心疾患があるのではないかとの恐怖心へと発展して受診の動機となることは当然考えられるところである.
しかし動悸を感ずるか否かは心拍出量の変化,心拍数の増加,リズムの変化などのほかに個人の感受性の問題もかなり関係していて,動悸を感ずるからといってもその中には生理的なものから病的のものまで含まれている.患者にとっては動悸はかなりの苦痛であるとしても,それが診断上きわめて重要な意味をもつ場合は比較的少なく,また心疾患の有無あるいは程度ともほとんど無関係の場合が多いことはすでにご承知のとおりである.したがって動悸は自覚症状のうちでも重要な症状とは必ずしもいえず,また動悸を正当に評価するためには他の自覚症状や客観的所見,さらには心電図,胸部X線その他の検査成績が必要であり,一般的にいって動悸は自覚症状よりはむしろ後者により,その種類・原因が決定されるといっても過言ではなかろう.
健康人であると病人であるとを問わず,心拍動を意識する場合は数限りなく,したがって動悸を主訴として来院する者もきわめて多い.一般的にいって動悸はそれぞれの個人に心臓の存在を意識させる端緒となり,もし頻回に動悸を感ずれば,それはおのずと心臓の病気を連想させ,さらには心疾患があるのではないかとの恐怖心へと発展して受診の動機となることは当然考えられるところである.
しかし動悸を感ずるか否かは心拍出量の変化,心拍数の増加,リズムの変化などのほかに個人の感受性の問題もかなり関係していて,動悸を感ずるからといってもその中には生理的なものから病的のものまで含まれている.患者にとっては動悸はかなりの苦痛であるとしても,それが診断上きわめて重要な意味をもつ場合は比較的少なく,また心疾患の有無あるいは程度ともほとんど無関係の場合が多いことはすでにご承知のとおりである.したがって動悸は自覚症状のうちでも重要な症状とは必ずしもいえず,また動悸を正当に評価するためには他の自覚症状や客観的所見,さらには心電図,胸部X線その他の検査成績が必要であり,一般的にいって動悸は自覚症状よりはむしろ後者により,その種類・原因が決定されるといっても過言ではなかろう.
掲載誌情報