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特集 これだけは知っておきたい診断のポイント II.呼吸器系 2.喘息と咳
咳が長くつづくとき
著者: 岩崎栄1
所属機関: 1国立大村病院内科
ページ範囲:P.954 - P.956
文献購入ページに移動咳は呼吸器疾患を診断するための重要な症状の一つである.そして,それが痰を伴なうかどうかは,ことに鑑別診断上役に立つ.もちろん,咳をきたす原因としては,呼吸器疾患だけでなく心臓血管系の病気,とくに老人に見られる慢性うっ血性心不全など,夜間の咳を訴えてくるので呼吸器疾患として誤ることがある.また特定の病気でなく"cigarette cough"といった単なる喫煙による慢性の咳もある.その他,神経性のものから,近年注目されてきた大気汚染による呼吸器疾患に至るまで,たくさんの疾病が"咳が長くつづくもの"として挙げられる.慢性の長くつづく咳は,昔から,わが国では,とくに若年者において,第1に肺結核症を疑い検査をすすめるのが臨床医の常識とされてきた.そしてなお,今日でも,年齢に関係なく肺結核症を忘れることはできないが,慢性で原因がわからない咳を訴える場合,肺癌をはじめ,悪性のものを疑って診断をすすめていくのが現況である.ことに高年齢層でのそれは重大である.
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