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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻7号

1972年07月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい診断のポイント II.呼吸器系 9.Vanishing Lung

Vanishing Lung

著者: 村尾誠1

所属機関: 1北大第1内科

ページ範囲:P.1004 - P.1006

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"Vanishing Lung"という表現
 肺のX線写真をみていると,肺紋理が見られない部分に気づくことがある.ある症例では,このような肺組織の消失とみられる所見が年月を経てしだいに拡大し,1肺葉さらに全肺野に及ぶことがある.このような所見を,はじめて"vanishinglung"とよんだのはBurke(1937)1)であるといわれる2).X線像での「消えゆく肺」に対応する病理学的変化を考えてみると,まず肺嚢胞症とくに嚢胞性肺気腫bullous emphysemaが念頭に浮かぶ.また気管支性嚢胞,気胸,肺動脈閉塞症の特殊な例も同様な所見を示しうるであろう.近似的な表現として,giant bullae,pneumatocele,cotton-candy-lung,progressive Lungendystrophie3)などの名のもとに発表されている症例の数も少なくない.したがって,X線像としてvanishinglungをとりあげる場合には,いくつかの異なった病変を包括する可能性があるので,むしろvanishing lung syndromeとして取り扱うべきものであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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