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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻7号

1972年07月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい診断のポイント V.内分泌系 3.注意すべき症状

女性乳房—その起こるしくみと臨床的意義

著者: 池田高明1 阿部令彦2

所属機関: 1慶大・外科 2国立がんセンター・外科

ページ範囲:P.1162 - P.1164

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特徴と発生頻度
 女性乳房症とは,男子乳房の片側性または両側性の病的肥大で,16世紀Aristotleの時代から知られているが,1848年Basedow1)による詳細な記載があり,その後多くの報告がなされている.大きさは小さなボタン型のSubareolar nodeのものから十分に発達した女性様乳房まであり,Gynecomastia(with breasts like women)と名づけるゆえんである.触診上,柔軟な組織内に,比較的硬い結合織の抵抗を触れるのが特徴で,圧痛を伴うことが多い.乳嘴は,腫脹した乳腺の中央に位置し,癌の場合と異なり,dimplingの症状を証明しない.
 鑑別すべきものとして,①脂肪性肥大(Pseudogynecomastia),②嚢胞,③感染性硬結,④良性腫瘍などがある,男子乳腺異常の発生頻度は,Lenson1)のnavyにおける600万人の調査では,1891例に認め,そのうち,脂肪性肥大が54.5%,女性乳房症が45.3%あり,乳癌は3例で0.16%であり,Pseudogynecomastiaと鑑別することが重要で,特に肥満型の人には注意を要し,触診すれば乳房全体がやわらかく抵抗がないのがPseudogynecomastiaの特徴である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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