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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻7号

1972年07月発行

特集 これだけは知っておきたい診断のポイント

VI.代謝糸 8.アミロイドージス

アミロイドージス

著者: 菊谷豊彦1

所属機関: 1東京都教職員互助会三楽病院・内科

ページ範囲:P.1215 - P.1216

文献概要

 アミロイドージスは最近急激に報告数が増加し,筆者が集めた原発性アミロイドージスの報告例は57例になり,本邦では地理病理学的にもまれな疾患とはいわれなくなった.その増加は食生活ならびに診断技術の向上によるものであろう.アミロイドージスは,基礎疾患を認めるか認めないかにより,続発性と原発性の2つに分けられる.骨髄腫を伴ったアミロイドージスの分類は議論が分かれている.続発性アミロイドージスは結核,癩,梅毒,慢性化膿性疾患を基礎疾患として多く認める.原発性アミロイドージスは心,肺,血管,消化管,皮膚などの非定型臓器に血管・筋肉・間葉性にアミロイド沈着が起こり,続発性アミロイドージスは沈着臓器が肝,脾,腎,副腎などの定型臓器を中心として,毛細血管および腺周囲性に沈着を起こすといわれたが,両者に移行が多いということは多数の者が認めており,本邦例ではアミロイドの沈着分布上の差がないといわれる.さらに続発性アミロイドージスの基礎疾患がはたしてアミロイドージスの原因になっているかまぎらわしい症例にぶつかることがある.筆者の例でも過去に慢性中耳炎と肺結核があり,非定型的アミロイド沈着を認めた例があるが,慢性中耳炎と肺結核が続発性アミロイドージスを起こしたか否か,その臨床像を相互に結びつける規準は,一般的にもないし,また,病理学的にも決定的な像はつかまれていない.同じく,骨髄腫を伴ったアミロイドージスか原発性アミロイドージスかを決めがたい場合も,筆者は経験している.
 アミロイドージスの診断が困難なことは,臨床診断名から明らかである.原発性アミロイドージスの場合,診断名はアミロイドージス,その疑い,腎炎,ネフローゼ症候群,尿毒症,心不全,心外膜炎,肝炎,肝腫蕩,肝胆道系悪性腫瘍,R. A.(?),糖尿病,膠原病,I. T. P.,Sjögren症候群,Hegglin症候群,肝破裂,下痢などきわめて多彩である.したがってつぎに述べる臨床症状に注意をはらうのがアミロイドージス診断の第一歩であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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