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文献詳細

雑誌文献

medicina9巻7号

1972年07月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい診断のポイント XVII.一般症状 2.症状からなにを考えるか

下腹部痛

著者: 澤田藤一郎12

所属機関: 1北九州市立小倉病院 2九大

ページ範囲:P.1540 - P.1542

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もっとも大事なのは,デファンスの有無
 下腹部の疼痛がある場合に診断にもっとも大事なことは局所の圧痛とデファンスミュスキュレールであると思う.ことにデファンスはごく軽い場合があり,これを発見すれば病竃の見当がつくので,私はいつでもよく注意してこの発見につとめる.人が診断に迷っておるときに軽いがデファンスの所在を発見し,それからすらすらと診断をつけられる場合がかなり多い.この存否,場所を知るためには私はいつも慎重にかまえる.
 患者を仰臥位に寝させ,両膝を十分に立てさせ,そして患者に十分に腹壁を弛緩させる.バンドをはずし,ボタンを全部はずさせる.紐はもちろんよくゆるめさせ,下腹部を全部露出させる.これをいい加減にしていたり,何でもないのに恥しがって手で邪魔だてするようではうまくゆかない.心を平静にさせ,十分に弛緩させる.腹壁反射の強い人があり,腹壁を堅くして触診がまったくできなくて困る場合がある.いずれにしても弛緩させた腹壁に検者の手を平らに腹壁を刺激しないように置き,手を移動させてデファンスの有無を検する.右と左,上と下と対照の部と比較して,軽いデファンスでも落とさないように十分に気をつけることが一つの診断のこつである.デファンスがある場所の内部に病竃が潜んでいることが多く,この局所的のデファンスに気がつけば,ほっと安心する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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