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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科1巻2号

1973年08月発行

文献概要

研究

脳ミトコンドリア酵素活性の失活阻止因子に関する研究—特にその臨床的応用の可能性について

著者: 小林督志1 渡辺一郎1 野中利房1 渡辺博1 佐藤潔1 石井晶三1

所属機関: 1順天堂大学脳神経外科

ページ範囲:P.125 - P.134

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 Ⅰ.はじめにわれわれは脳浮腫の発生機序に関しこれを生理学,生化学ならびに形態学的立場から多角的な検討を行なってきた.その結果脳ミトコンドリアの機能障害が脳浮腫の発生ならびに広く脳の機能障害に重要な相関を示すことを見出し,報告してきた.これらの研究の中で脳ミトコンドリアの機能,特にエネルギー形成過程の障害に関与する少なくとも2つの因子を明らかにしてきた.すなわち脳圧迫,脳循環障害などの病的条件下において脳ミトコンドリアのエネルギー形成過程を阻害する物質(Endogenous Inhibitor)が細胞内に代謝過程を通じて蓄積してくることを見出した11,20,21,31,33).更に同様な病的条件下においてEndogenous Inhibitor(EI)とは別にミトコンドリアの酵素系からある種の活性物質(Active Factor)が脱落し,これがミトコンドリアの失活と関係していることも発見した.
 これらの実験結果に基づき,それぞれの因子を除去ないしreplaceしてやることが可能であれば,障害された脳ミトコンドリアの機能を回復せしめ,ひいては脳全体としての機能回復をも期待しうるのではないかと考えた.今回は既に発表した牛血清アルブミンによるEIの無害化並びにActive Factorの添加によるミトコンドリアの失活防止に関する知見をin vivoの条件下で応用することを試み2,3の知見を得たのでここに報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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