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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科1巻2号

1973年08月発行

文献概要

研究

急性頭蓋内圧亢進時における脳代謝・脳循環

著者: 口脇博治1

所属機関: 1名古屋大学脳神経外科

ページ範囲:P.153 - P.161

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Ⅰ.はじめに
 頭蓋内圧が亢進すると血圧が上昇し呼吸が不整となり脈搏数が減少し,意識障害を伴って生体は急速に死の転帰をとることは古くから知られている,Kocher9)は1901年すでにこのような経過を主として臨床症状から4期に分類し最近ではLangfitt11)がやはりvital signsの動きから同様4期に分類した.池山6)は犬における急性実験から,脳循環動態と脳機能の指標としての脳波の変動とを組合わせて詳細に検討し,次のごとき4期に分類した.すなわち頭蓋内圧を漸次上昇させて行くと脳血流が一定に保たれる時期(Ⅰ期)を経て,次いで脳血流は軽度減少しはじめる(Ⅱ期).更に頭蓋内圧を上昇させると脳血流減少は血圧上昇反応の出現により代償され脳波には徐波の混入が多くなる(Ⅲa期).頭蓋内圧を更に上昇させると血圧上昇反応によっても脳血流が維持できなくなり脳波も平坦化し(Ⅲb期),ついに動物は末期(Ⅳ期)に至り死亡する(Fig.1).
 次いで坂野1)の検討によればこれらのうちⅢa期とⅢb期では脳血管反応性に差がみられ脳血管反応性を失う,Ⅲb期になると薬物あるいは減圧手技による治療効果が期待薄であることがわかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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