文献詳細
文献概要
境界領域
腫瘍免疫研究の問題点—腫瘍抗原と免疫監視機構・2
著者: 西岡久寿弥12
所属機関: 1国立がんセンター研究所ウイルス部 2東京大学医科学研究所
ページ範囲:P.201 - P.207
文献購入ページに移動免疫学的に未成熟な胎仔,新生仔,あるいは人工的に免疫機構を破壊した宿主にのみ高率に発がん性ウイルスで癌発生の実験が成功する事実,あるいはヒトの免疫不全疾患であるWiscott-Aldrich症候群,Ataxia-teleangectasia,Bruton型無ガンマグロブリン症などに高率に悪性腫瘍が発生し,さらに腎移殖をうけて,免疫抑制をうけた患者に悪性腫瘍が多発する事実は,動物,ヒトのがんの抑制に免疫監視機構が重要な役割を果していることを示すものである.
前述した免疫監視機構にあずかる宿主側の要因としての細胞性の因子として,感作リンパ球との特異な反応の結果誘発されてくるeffector mole-culesを列挙した(表1).これは抗原と感作リンパ球との特異的な反応に基づいて,これらの活性発現因子がeffector moleculesとして作用して右欄に示す活性をあらわす.現象の追究から細胞免疫に関与する実体がようやく明らかにされつつある.
掲載誌情報