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研究
脳静脈異常に関する研究・Ⅱ—頭蓋内異常静脈網(cerebral venous dysgenesis)と他の頭蓋内静脈異常との比較検討
著者: 加川瑞夫1 篠原豊明1 小川信子1 喜多村孝一1
所属機関: 1東京女子医大脳神経センター脳神経外科
ページ範囲:P.235 - P.240
文献購入ページに移動著者らは知能発育遅延,痙攣発作を主徴とする幼小児の中に,頭蓋内異常静脈網をみいだし,かりにcerebralvenous dysgenesisと名づけて報告した1).この頭蓋内異常静脈網の成因についてはいまだ不明な点が少なくない.とくに先天的な病変であるか,後天的に続発したものであるかについても議論のあるところである.しかしながら著者らは頭蓋内静脈の発生過程を詳細に検討することにより,胎生期脳静脈の発生異常あるいは胎生期静脈の遺残によるものであるとの立場を採っている.本論文ではこれら頭蓋内異常静脈網を示す19例を中心に,類似疾患との鑑別について検討を加えてみたい.
頭蓋内静脈異常,とくに異常静脈網を示す疾患はきわめて少ない.著者らのcefebral venous dysgenesisと類似の疾患はとくに少なく,頭蓋内静脈洞閉塞およびPotter's leptomeningeal hemangiectasis4)があげられるに過ぎない.本稿では頭蓋内異常静脈網を中心に類似の他疾患とに形態学的,症候学的比較検討を行ない,著者らのいわゆる頭蓋内異常静脈網の病態について少しく論じてみたいと考える.
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