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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科1巻4号

1973年10月発行

文献概要

研究

下垂体腺腫のホルモン分泌

著者: 景山直樹1 小林達也1 吉田純1 浅井尭彦1 米沢猛2 辻靖弘3

所属機関: 1名古屋大学脳神経外科 2京都府立医科大学病理学教室 3関西医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.295 - P.309

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 従来から下垂体腺腫は通常3種類に分類されてきた.すなわち酸嗜好性腺腫(eosinophile adenoma),塩基嗜好性腺腫(basophile adenoma)および嫌色素性腺腫(chromophobe adenoma)である.この分類法はCushing以来長く用いられてきた.そしてeosinophile腺腫は主として成長ホルモンを過剰に分泌する腺腫であり,basophile腺腫は副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される際に反応性に下垂体に生ずる腺腫と理解されるようになった.そしてchromophobe腺腫はなんらホルモンを分泌せぬ細胞からなり,それが下垂体を破壊するために,患者は下垂体機能の全般的な低下を来たすと理解されてきた.しかし電子顕微鏡的観察が正常下垂体前葉および下垂体腺腫に行なわれるようになってから,その様相は著しく変わってきた.
 まず各種動物下垂体の電子顕微鏡的観察により,正常下重体前葉には電子顕微鏡的に分泌顆粒を全く持たない細胞はごく稀にしか存在しないことが明らかとなってきた.更に1962年Schelin21)は13例のchromoPhobe腺腫と10例のacromegalyの患者の腺腫を電子顕微鏡的に詳細に観察しeosinophile腺腫には300mμ直径平均の分泌顆粒が豊富に認められ,chromophobe腺腫には100mμ直径平均のものを含むものと,300mμ直径前後のものを少量含むものとがあると発表した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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