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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科1巻4号

1973年10月発行

文献概要

研究

Hemiballismに対する定位脳手術—Lateral Pallidotomy

著者: 坪川孝志1 中村三郎1 宮上光祐1 王増富1 小谷昭夫1 森安信雄1

所属機関: 1日本大学脳神経外科

ページ範囲:P.329 - P.335

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I.緒言
 Hyperkinesiaに対する定位脳手術の標的は,淡蒼球の内側部が選らばれてきたが(Cooperら6),楢林15)ら).1960年以来,視床腹外側核破壊法にかわり,最近ではMundingerら13,14)は,視床腹外側核破壊に視床下野の破壊を合併して治療している.Ballismはsubthalamic nucleusの障害によって発生する激しい不随意運動症で(Jakob8),Martin10),Matzdoroff11),Whittierら27)),淡蒼球視床系の興奮路が,subthalamic nucleusが健全なときにもっていた錐体外路性の運動の抑制効果より解放されるために,促進され異常運動を発現させると考えられる実験的事実(Carpenterら3,4),Yoshidaら26,27),Rallら16))があるので,淡蒼球内側部ないしは視床腹外側核の破壊は,ballismにも有効とされてきたのである.しかし,Mundingerら14)の視床および視床下野合併破壊による治療成績をみると,11例中4例(36%)に有効であったのみで,18%の例ではむしろ悪化しているのである.
 淡蒼球内側へのsubthalamic nucleusよりの求心系の障害によって淡蒼球の細胞の抑制が除去され,淡蒼球視床系が興奮してballismが発生するとすれば,従来の内側部破壊,視床外側核破壊がballismに対して有効であるべきであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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