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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科1巻5号

1973年11月発行

文献概要

研究

脳静脈異常に関する研究・Ⅲ—Persistent emissary veinを合併せる脳静脈奇型

著者: 加川瑞夫1 川畠弘子1 橋本卓雄1 篠原豊明1 喜多村孝一1

所属機関: 1東京女子医大脳神経センター脳神経外科

ページ範囲:P.397 - P.402

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Ⅰ.はじめに
 頭皮に認められる血管奇形は必ずしも少なくない.なかでもAVM, sinus pericranii等に関しては報告が多い.しかしながら頭皮静脈系の病変であるpersistent emissary veinに関する記載は少なく,とくに頭蓋内静脈および静脈洞系の異常を合併した症例はきわめてまれである.著者らはpersistent emissary veinに頭蓋内静脈および静脈洞の奇形,および顔面,四肢にvenous angiomaを合併する稀有なる症例を経験した.
 著者らは頭蓋内静脈病変を先天性病変と後天性病変に分け,まず先天性頭蓋内静脈奇形に関して一連の報告をしてきた.その頭蓋内病変を発生学的な立揚から幼若静脈系の遺残あるいは発生途上のある段階での停止,および停止状態の存続がもっとも重要な機転であることを示唆してきた。本症例は頭蓋内静脈および静脈洞病変がいかなるstageにおいて発生したかを知る上にきわめて重要な示唆を与えてくれると同時に,頭蓋外静脈奇形との関連性を云々する上にきわめて重要な症例であると思われる.さらに全身に同様な静脈病変の合併をみることから,一つのsystemicな静脈の先天性病変を考慮しなければならないと考えられる.本論文ではpersistent emissary veinと頭蓋内静脈および静脈洞の奇形の合併を認める症例を中心に,頭蓋内静脈奇形の発生機転に少しく考察を加えてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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